新関西将棋会館で開館記念式典 谷川十七世名人「名勝負を期待」
大阪府高槻市に移転する「関西将棋会館」の開館記念式典が17日、同館であった。式典には、日本将棋連盟会長の羽生善治九段(54)や谷川浩司十七世名人(62)、藤井聡太名人・竜王(22)=王位、王座、棋王、王将、棋聖と合わせ七冠=らが出席し、西の新拠点の門出を祝った。 【写真】関西将棋会館の開館を祝って鏡開きをする羽生善治九段(右から2人目)、藤井聡太名人・竜王(同3人目)ら=2024年11月17日午後1時47分、大阪府高槻市、小玉重隆撮影 移転は、1981年に建てられた旧会館(大阪市福島区)が老朽化し、連盟が対応を検討していたところ、将棋を通じた地域振興を進める高槻市から打診があり実現した。新会館はJR高槻駅そばに新築された鉄筋コンクリート造りの地上5階建てのビルで、将棋道場、公式戦を指す対局室などが設けられた。初の公式戦は12月3日で、この日にオフィシャルショップや道場もオープンする。旧会館の最終対局日は今月28日。 式典で羽生九段は、連盟が今年創立100周年であることや、江戸時代に、将軍の御前で時の名人が模範対局をした日が式典の日と重なったことに触れ「(そんな日に)開館を迎えることをうれしく思っています」「将棋を愛し、将棋界を育てて、次代につないでいこうという多くの人のお心遣いで、なんとか(開館を)成し遂げることが出来ました。このご恩を良い形で皆様方にお返し出来るように、これからも力を尽くしていきたいと思います」などと話した。この日、新会館5階の「特別対局室」では、羽生九段と谷川十七世名人の、こけらおとし記念対局もあった。谷川十七世名人は「私自身も新しい将棋会館で対局出来ることを楽しみにしていますし、後輩の優秀な棋士たちが、この高槻の地で、名勝負、名局を繰り広げてくれることを期待しています」などと話した。 新会館の対局室の名称は、5階がタイトル戦でも使用可能な格式高い「特別対局室」。4階は「水無瀬(みなせ)」「錦旗(きんき)」「菱湖(りょうこ)」「欅(けやき)」「芙蓉(ふよう)」。「水無瀬」「錦旗」「芙蓉」は、現在の会館にもある対局室の名前を引き継いだ。「菱湖」は、「水無瀬」「錦旗」と同じく、将棋の駒の書体の名称を採用したという。「欅」は、「高槻市民の木でもあり、高槻の地名にも由来します」と日本将棋連盟。2階は洋室だが、伝統文化である将棋の和の雰囲気を表現したいと、日本の四季を表現する「雪月花」を採用。対局室は「雪(ゆき)」「月(つき)」、多目的ルームは「花(はな)」と名付けたという。(佐藤圭司)
朝日新聞社