傷ついた被災地の子どもたちが一瞬で笑顔になった「ピカチュウ」の力 社員有志が不安を抱えて始めた「息の長い支援」、形を変えて今も続く
「日常的に親しんできたキャラクターが応援に来てくれたり、遊んでくれたりすることは、子どもたちの心の回復にとって意義のあること」 ▽防災教材の寄贈、ICT教育支援、子ども食堂を訪問…広がる活動 震災から10年となった一昨年、「ポケモン・ウィズ・ユー」の活動は同社が新たに設立した一般財団法人に引き継がれた。支援する地域は、東北から全国に広げ、災害の枠組みに限らず、多岐にわたるものになった。 子どもが災害から身を守れるように未就学児向けの防災教材を保育園・幼稚園などの施設に寄贈するほか、情報通信技術(ICT)教育支援として小学3~4年生向けのプログラミング教材の提供なども行っている。 地元のNPOなどが行う子ども食堂への支援にも力を入れる。文房具やペーパークラフトなどを提供するほか、約2年間かけてピカチュウとともに47都道府県の子ども食堂を訪問するイベントも進行中だ。子どもたちにとって楽しい記憶のある場所にして、経済的に厳しい家庭の子が足を運びやすくすることを目指している。
ポケモン・ウィズ・ユー財団・事業グループのリーダー新井賢一さんは活動の意味や今後についてこう語る。「根底にあるのは、当初から変わらず子どもたちを笑顔にしたいという思い。社会の課題に対し、ポケモンだからできることをテーマに活動を定めていった。財団としての活動は始まったばかり。今後も子どもたちへの支援に課題を感じる人たちと活動の輪を広げていきたい」