<ブギウギ>梅吉とスズ子、別れのシーンの裏側 15分以上の長回しも「リハなし一発OK」 「父ちゃんブギ」は脚本・足立紳のアイデア
◇最後に“血がつながっていないこと”に言及した理由
史実では、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子さんが、育ての父の死の間際に、血のつながりがないことについて話し合った事実はなかったという。
福岡さんは「笠置さん自身は最後まで自分の両親は(育ての親の)音吉さんとうめさんだということを通していたそうなんです。その思いはもちろんくみたいですが、脚本の足立紳さんとしては、しっかり梅吉と話してほしいという思いもあったそうなので、スズ子は言うつもりはなかったけど、独り言のようにつぶやいた話を梅吉に聞かれてしまうという流れにさせていただきました」と説明する。
血がつながっていないことを梅吉の最期に描いた狙いについては、「改まって話すことでもないと思っていましたけど、スズ子が抱えてきたもやもやを、梅吉が吹き飛ばしてくれたらいいなという思いでした。決着というか、改めて言葉にできればいいなと思っていました」と明かす。
今回の回想シーンにも登場した、香川で一からやり直したいと語る梅吉に、スズ子が思わず「ほんまの娘やないからか」と言い放つ場面(第48回)について、この時のスズ子の言葉は、梅吉に聞こえていたのだろうか?
「僕個人としては聞こえていたと思うんですけど、その解釈は見る人に委ねたい。スズ子が自分の出生の秘密を知っていることを、梅吉が気付いているかどうかについても、お好きなように取っていただければと思います」
◇「父ちゃんブギ」で「歌の力を描きたい」
梅吉とスズ子が一緒に歌った「父ちゃんブギ」について、福岡さんは「足立さんの台本に『父ちゃんブギ』と書いてあって、『こんな曲あったっけ?』と驚きました。素晴らしいアイデアだなと思いましたし、きっと梅吉は普段からそうやって歌っていたんだろうなと情景が浮かびました」と笑う。
これまでに「ブギウギ」ではたくさんのステージシーンが描かれてきたが、この場面では「身近な人と歌うことの良さ、歌のあり方」を表現した。