角田裕毅、F1アブダビGPで先頭を走った! 日本人ドライバーとして佐藤琢磨以来19年ぶり2回目。願うは”リードラップ”などニュースにならない日が来ること
2023年のF1最終戦アブダビGP決勝レースで、アルファタウリの角田裕毅が5周にわたってリードラップを記録。日本人ドライバーがF1決勝でリードラップを記録するのは、実に19年ぶり2回目のことである。 【F1動画】角田裕毅リードラップ&渾身の1ストップ作戦で8位! 2023年F1最終戦アブダビGP決勝ハイライト 角田はF1アブダビGP決勝を6番グリッドからスタート。レース前半はこのポジションをキープした。そして周囲が2ストップ戦略を採ったのに対し、角田は上位勢では唯一1ストップ戦略を採った。そして前を行くマシンが1回目のピットインを行なうと、角田は首位に立つことになった。 角田が首位を走ったのは、18周目から22周目までの5周。角田は自身がピットストップを行なったことでポジションを下げたが、それでも紛れもなく先頭を走った瞬間だった。 「正直に言うと、先頭に立っているとは知らなかったんです。だからそれには驚いています」 角田はレース後にそう語っている。 「シーズン前半の時点では、レースをリードできるなんて考えもしませんでした。チームの努力なくして、こんな成果を達成することはできませんでした」 角田とチームは1ストップ戦略を採り、あくまで上位を目指した。しかしそれは功を奏さず、結局はスタートポジションよりふたつ順位を落とした8位でのフィニッシュだった。しかし角田は、この戦略には後悔していないという。 さて日本人ドライバーがF1決勝で先頭を走るのは、今回が2回目のことである。 前回……つまり日本人ドライバーがF1で初めて先頭を走ったのは、今から19年前の2004年、ニュルブルクリンクで行なわれたヨーロッパGPである。先頭を走ったのは、BARホンダ006を駆る佐藤琢磨だった。 このグランプリで佐藤は、日本人初のフロントロウとなる2番グリッドを獲得。1周目にルノーのヤルノ・トゥルーリと接触して4番手に下がるも、今回の角田と同じように前を行くマシンがピットストップを行なうことで首位に立ち、2周にわたって先頭を走った。 周回を重ねるうちに2番手に復帰した佐藤にとって、表彰台を争う上でのライバルとなったのは、異なる戦略を採ったフェラーリのルーベンス・バリチェロだった。 佐藤は3回目のピットストップを終えた直後、このバリチェロに一気にオーバーテイクを仕掛けた。しかし両者接触。佐藤はフロントウイングを壊し、緊急ピットインを強いられることになった。バリチェロはレース後にこの佐藤の動きを「アマチュアだ」とバッサリ批判。しかし当時FIAのF1レースディレクターを務めていたチャーリー・ホワイティングは、次戦カナダGPの際佐藤に対して、バリチェロに非がある旨の発言をしたとも言われている。 ノーズを交換した佐藤だったが、そのロスがあったにも関わらず5番手でコースに復帰。改めて前を追ったが、結局エンジンブローに見舞われてリタイア。チェッカーには届かなかった。 しかしながらこのレースは、”佐藤琢磨ここにあり”という印象を強烈に植え付けた1戦だったと言えよう。 それから19年。同じホンダエンジンを搭載し、しかも同じ和光高校出身の”後輩”が、日本人2人目のF1リードラップを記録した。 しかし19年という歳月はあまりにも長すぎる。今年阪神タイガースは18年ぶりにリーグ優勝を達成したが、それよりも長い期間が空いてしまったのだから。 日本人ドライバーのリードラップ獲得がニュースにもならない日……そんな日が一刻も早く来るのを願わずにいられない。その時には、日本人ドライバーの2位以上……そしてポディウムの頂点に立つ日が近づいていることだろう。
田中健一
【関連記事】
- 【F1分析】アルファタウリの角田裕毅8位入賞。トスト代表は「1ストップは失敗」と発言も、チーム含め成長が感じられた1戦だった:F1アブダビGP
- 【F1動画】角田裕毅リードラップ&渾身の1ストップ作戦で8位! 2023年F1最終戦アブダビGP決勝ハイライト
- ■ついに記録が破られた! 不滅と思われた1988年マクラーレン・ホンダ“16戦15勝”の最高勝率記録をレッドブルが更新。22戦21勝で勝率95.45%
- ■角田裕毅、シーズン終盤戦の進歩に大きな手応え「まだ十分じゃないことは分かっているけど……前進に繋がることを願っています」
- ■アロンソ、ハミルトンから“ブレーキテスト”と批判の老獪な走りはDRSを確保するためと説明「経験なら僕の方が上」