中国、日本人へのビザ免除再開を調整中:観光促進と日中関係改善に期待
【東方新報】中国政府が、日本人観光客に対する短期ビザ免除再開を調整中であると報じられた。これは、新型コロナウイルスのパンデミックにより中断されていた措置であり、再開が実現すれば日中間の観光促進や経済交流の強化に寄与すると期待されている。 注目すべきは、パンデミック前に日本、シンガポール、ブルネイが中国からの短期ビザ免除対象国だったことである。しかし、パンデミック後において、中国は多くの国に対しビザ免除あるいは相互免除を実施したものの、日本はそのリストから外れたままだった。 日本政府や経済団体はこれまで何度も中国に対し、この免除措置の再開を要請してきたが、双方が相互ビザ免除に合意できず、この問題は長い間棚上げされてきた。11月初め、中国外交部は韓国を含む9か国に対しビザ免除を実施すると発表し、これにより韓国人観光客の訪中が増える中、日本人への措置がいつ再開されるのかが再び注目を集めている。 日本人へのビザ免除が実現すれば、特に日本在住の華人にとって大きな意義がある。一方で、帰国の際の手続きが簡略化され、時間や費用を節約できるほか、ビジネスの柔軟性や競争力向上にもつながる。また、日本企業が中国への投資を促進するための信頼感を高め、日中間の経済協力の拡大に寄与する可能性がある。 観光業の発展にも大きな効果が期待される。SNSでは、韓国の済州島のように、中国人観光客が沖縄にビザなしで最大7日間滞在できる制度を日本に導入してほしいという意見も話題になっている。 最近の石破茂(Shigeru Ishiba)首相の就任前後における一連の動きを見ると、日中関係が改善の兆しを見せている。例えば、9月には両国が福島第一原発の処理水放出問題で基本合意に達し、日本産水産物の段階的な輸入再開が発表された。また、ペルーで行われた会談でも、両国の建設的かつ安定的な関係構築が確認された。 現在、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、日本は中国にとって第4位の貿易相手国でありながら、第2位の輸出先および輸入元となっている。両国が協力すれば互いに利益を得られる関係にあるため、ビザ政策の見直しは自然な流れといえる。 中国が日本人にビザ免除を実施する背景には、経済的な考慮も含まれる。最新の中国国家外貨管理局のデータによれば、今年前3四半期における中国の旅行収支赤字は1582億ドル(約24兆4339億円)に達し、前年同期比で30パーセント増加した。その中でも、日本は中国人観光客が最も好む旅行先である。携程(Trip.com)のデータによると、今年の国慶節期間中の海外旅行先人気ランキングでは、日本が1位となっている。 中国人観光客の訪日需要は、日本にとって大きな外貨収入源となっている。今年5月には、「日本のルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)店は中国人客で埋め尽くされている」という話題が微博でトレンド入りした。2023年第2四半期には、中国から日本への観光客による消費額は約4420億円に上り、日本への外国人観光客消費額全体の20.7パーセントを占めている。 日本への中国人観光客の急増に対し、日中間の観光収支の不均衡を解消するためには、日本人の中国観光を促進することが望まれる。実際、ビザ免除は観光需要を迅速に押し上げる効果がある。例えば、11月に韓国に対するビザ免除が発表された後、韓国の旅行予約率が65パーセント増加した。 一方で、国内の一部ではビザ免除措置に対する懸念も指摘されている。SNSでは「相互免除が前提ではないのか」という声が上がり、一部では日本国内の中国人観光客に対する対応が議論を呼んでいる。また、日中間の歴史的背景や社会情勢に基づく感情的な反発も一部で見られる。 日本人観光客へのビザ免除措置が再開されれば、日中間の交流がさらに活発化し、観光業や経済活動に新たな活力が生まれると期待されている。日中関係が改善する中で、このような具体的な措置が両国にとって互恵的な成果をもたらすことが望まれる。今回の政策が良好な関係のさらなる発展につながることを期待したい。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。