鬼伝説とコンプライアンス? 桂三扇さんが創作落語にして地元の人たち沸かす
京都府福知山市の雲原公民館で23日、雲原寄席が開かれ、桂文枝一門で市内在住の落語家・桂三扇さんが、地元に残る鬼伝説にちなんだ創作落語を披露。会場に集まった約50人を沸かせた。 雲原地区福祉推進協議会(西原正範会長)、雲原砂防イベント実行委員会(清水順次委員長)主催。 地元には福知山に残る鬼伝説のうち、酒呑童子の息子「鬼童丸」と母親の「桜御前」に関する話があり、それをもとに、雲原の大江山鬼そば屋共同店長の佐々井飛矢文さんと中村麻美さんが絵本小説「『鬼』とよばれた親子」を著した。鬼とされている酒呑童子と鬼童丸を人間として描いていて、三扇さんはこの小説を生かした落語を創作した。 寄席では初めに三扇さんが「牛ほめ」、アマチュア落語家の夢乃俣夢さんが「ぜんざい公社」などの古典落語を届け、再び三扇さんが高座へ上がり、創作落語「『鬼と呼ばれた親子』って?」を披露した。
番組制作をする上司と部下が酒呑童子伝説に関する大型時代劇を作るが、コンプライアンス(法令順守)の観点からテレビ局側から内容の変更を求められ、練り直すといったもの。鬼を人にし、牛を殺す場面は「牛に隠れる」といった設定に変えるなど、絵本小説の内容を取り入れ、オチをつけて笑わせていた。 このあと、著者の一人、佐々井さんと三扇さんが絵本小説を解説。放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」に登場する藤原道長の命令で、源頼光らが酒呑童子討伐に大江山へやって来たことなど、時代背景や物語への思いを語り、多くの来場者とともに鬼伝説への理解を深めた。