「60歳…信じられない」13歳で北朝鮮に拉致された横田めぐみさんが還暦に…再会に懸ける母と同級生の思い
■ともに60歳を迎えた同級生
早紀江さんを支え、救出活動を続けているのは、めぐみさんの同級生だ。 1977年11月15日、北朝鮮の工作員によって実行された拉致。その翌朝「横田がいなくなった」と教師に伝えられたときの衝撃は、同級生の記憶に深く刻まれている。 そして、あの日の帰り道、誰が拉致されてもおかしくなかったという共通の思いがある。 めぐみさんの帰国を祈り開催してきたチャリティーコンサートは、今年で14回目を数えた。 「めぐみさんとの再会を誓う同級生の会」代表の池田正樹さんは、「チャリティーコンサートは『お帰りなさいコンサート』という名称で会場を予約して、『お帰りなさいコンサート』としてパンフレットを作った」と話し、いまだに再会が叶わないことに憤る。 同級生の小栗武さんは壇上で「一般的に還暦であれば第2の人生と言われる。めぐみさんには本当の意味で第2の人生を、お母様や(弟の)拓也さん・哲也さんと日本でゆっくり過ごしていただきたい」と涙ながらに語った。 チャリティーコンサートを締めくくったのは、47年前の合唱祭でめぐみさんと共に歌った「翼をください」だ。 『悲しみのない自由な空へ翼はためかせ行きたい』 『子どもの時夢見ていたこと 今も同じ夢に見ている』 めぐみさんは、拉致によって自由や夢を奪われたまま還暦を迎えてしまった。同級生はこの歌詞に、北朝鮮で救出を待ち続ける彼女の思いを重ねている。
■動かない拉致問題 関係者に広がる焦り
コンサートで毎年演奏しているヴァイオリニストの同級生・吉田直矢さんは、救出活動をする中で感じている歯がゆさに言及した。 「世論喚起のコンサートを開催すれば、皆さんの応援の気持ちが届いてくる。しかし、それが解決に直接結びつかないことを思いながら、きょうも演奏した」 拉致被害者救出を訴える運動が、政府の具体的な行動に結びつかない。家族は高齢となり、周囲の焦りは広がるばかりだ。 それでも同級生は、世論が政府を動かすと信じて、そして「来年こそお帰りなさいコンサートとなる」と信じて活動を続けて行く。 めぐみさんともう一度「翼をください」を歌うために。
NST新潟総合テレビ