今春は不作?!名スカウトが選んだセンバツのドラフトA評価は1人
春のセンバツ高校野球もベスト4が出揃い、いよいよ準決勝、決勝戦を残すのみになった。今秋にプロからドラフト指名を受ける可能性のある候補が何人か出場したが、名スカウトの目に留まったのは誰なのか。 元ヤクルトのスカウト責任者で、古田敦也や宮本慎也、今のチームで言えば畠山和洋を発掘した片岡宏雄氏にピックアップしてもらった。 片岡氏は総評として、「この選手はプロでの活躍は間違いないという、いわゆる特A評価の選手は一人もいない。高校生は調子の浮き沈みが日によって違うため、春のセンバツでの評価は得てして難しく、どの球団のスカウトも夏への定点観測の意味合いの大きい大会だが、不作と言えば不作。それでも申し分のない素材を評価してのAないし、今後の伸びシロへの期待のできるA´、B評価の選手は複数いた」と言う。 かつての名スカウトが今大会で、ただ一人A評価をつけたのが、創志学園(岡山)の“松坂二世”と呼ばれた高田萌生投手だ。ベスト8進出はならなかったが、最速149キロを2度マークした。 「気迫のこもった投球は気持ちがよく、スライダーを含めて変化球も多彩で緩急をつけることのできる投球技術は、高校生離れしている。フォーム、バランスといった形の部分では、今大会で一番。後は、夏までにどれだけ馬力を増すことができるかだろう」 次にA´の評価をつけたのが、2人。一人は敦賀気比の山崎颯一郎だ。188センチの長身で“北陸のダルビッシュ”と呼ばれている右腕。ベスト16で敗退したが、2試合で18回を投げて自責は2(防御率1.00)。投げ下ろすストレートは145キロをマークして変化球にも落差があった。 「惚れ惚れするような体。腕の振りは癖もなくスムーズ。まだ体を十分に使いこなせずにプレートさばきも不十分だが、素材としてはプロ好み。夏に向けて下半身を鍛えていけば、スピードはアップするだろう。伸びシロは一番」 もう一人は、東邦の藤嶋健人だ。1年の夏から甲子園出場を果たし、1977年夏に1年で準優勝投手となった坂本佳一氏に重ね“バンビ2世”と騒がれた。エースで4番。一回戦の関東第一との試合で、初回二死二塁に変化球をレフト前へ弾き返し先制タイムリーを放つなどバッティングも捨てがたい。明石商には3失点で敗れたが、最速は146キロをマークして、2安打もしている。 「1、2年時に比べて最も成長した選手。フィジカルも技術もアップした。ストレートは140キロを越え、変化球との投げ分けができるようになった。安定感がある。勝負の局面での決め球を磨くのが、投手としての今後の課題。バッティングも懐が深く、バットの出がスムーズで力強い。野手としても魅力で、現時点ではハッキリと投手か野手かと決め辛い。大谷とはスケールは違うが、球団の方針によっては真剣に二刀流を考えたくなる素材だ」