今春は不作?!名スカウトが選んだセンバツのドラフトA評価は1人
次のグループに属するのが、大阪桐蔭の高山優希、木更津総合の早川隆久、ベスト4に進出、片岡氏が優勝候補と踏む龍谷大平安の市岡奏馬の左腕3人だ。高山は、1回戦の土佐戦では制球に重きをおき球速を抑えた。だが2回戦の木更津総合戦では、3回に5安打を集中され4失点したものの、最速は145キロをマークした。その試合で投げ勝ったのが、早川。準々決勝の秀岳館戦では9回に力尽き、2つの四球を与えて逆転サヨナラ負けを喫したが、8回まではわずか2安打無失点に抑えていた。 市岡は、3試合で防御率0.60の安定感を見せている。 「高山は腕の振りがスムーズ。リリースポイントが打者に近い。下半身が弱く、投球の際、上体が流れるので、球速は出せなかったが、夏に向けて下半身を鍛えれば、スピードもキレも増すだろう。伸びシロを感じさせる素材で、どれだけ成長するか楽しみ。 早川は今大会で豊富だった左腕の中でバランスもよく一番の安定感がある。ただ高校の段階で、少しまとまりすぎてしまっている感もある。 市岡は、癖がなく、天性の肘の使い方をする。ただ彼も高山と一緒で下半身が未熟。夏に向けて鍛えれば、成長する可能性を秘める。伸びシロを含めてスカウトが追跡しておきたい素材だろう」 野手では片岡氏の目に留まったのは2人。青森山田のショートストップの三森大貴と、秀岳館のキャッチャー、九鬼隆平だ。九鬼の父は、やまびこ打線で知られた池田高校で春夏4度の甲子園経験のある正捕手で、片岡氏は、ヤクルトのスカウト時代、松下電器に進んだ父親をマークしていた経験があるという。また三森は1回戦で敦賀気比の山崎に完封負けしたが、4番に座って9回にセンター前ヒットを1本放っている。 「九鬼は、父と同じで、プロの捕手の必要条件である体の強さがある。しかし父に似ていて、少し敏捷性に欠け、鈍さが見える。ウエストをしたときには肩の強さをアピールできるが、スローイングにはまだ課題が残る。また今の落ちる球全盛の野球において捕手は止めることも大事な仕事で敏捷性が求められる、そこが課題だが、鍛えがいのある大型捕手。どこのチームも、捕手難だから素材としては魅力だ。 ショートは、海星戦で本塁打も放った敦賀気比の林中勇輝にプロが注目しているが、私の目に留まったのは青森山田の三森。まだ線が細いが、当てるだけのような中途半端なスイングがなく、しっかりと振り切っているところが買い。広角にも打てるし、将来性を感じさせる」 片岡氏が選んだ8人のうち、ベスト4に進んだのは龍谷大平安の市岡と秀岳館の2人だが、彼らのプレーと同時に敗退したドラフト候補たちが、どこまで成長して夏の甲子園に帰ってくるのかに注目していきたい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)