「話す内容や順序を考えて説明するのが苦手」…そんな発達障害の子の会話力を育てる秘訣とは
いつの時代も、会話によるコミュニケーションは重要です。しかし、コミュニケーションに困難を抱え、学校でうまく会話ができずに悩んでいる発達障害の子がたくさんいます。相手の受け答えを聞かずに熱弁をふるってしまったり、相手の話を最後まで聞けなかったり……。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 発達障害の子は、ほかの多くの子とは異なる、ユニークなコミュニケーションのスタイルをとっています。彼らに合った場面で、同じ波長の仲間となら、気持ちよく話ができることもあります。ですから、「うまく話すことより、楽しく話すこと」を目標にしてサポートしたいものです。 ここでは、『発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる本』(藤野博監修、講談社刊)のエッセンスを、全8回にわたって紹介。発達科学の知見に基づきながら、発達障害の子が楽しく会話力を伸ばしていくためのヒントを探っていきましょう。今回は、子供の会話力を育てる、大人の対応についてご紹介します。 発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる 第6回
話の全体像と流れを、明確に示そう
発達障害の子の会話力の育て方として大事なのは、「うまく話すことを求めすぎない」ことです。 実行機能の働きが弱い子は、はやる気持ちをおさえ、話す内容や順序をよく考えてから説明するのが苦手です。子どもの「話の流れ」が乱れていて説明がわかりにくくても、「順番に話して」などと注意せず、まずはその子の特徴として受け止めるようにします。 同じ実行機能の問題でも、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)など、それぞれの特徴によって、現れ方は微妙に異なります。 ・ASD の子は、話の流れよりも自分の興味に意識が向きやすい。 ・ADHD の子は、気がはやって話の流れが乱れやすい。 ・LD の子は、話の流れを整理するのに時間がかかることがある。 「子どもの話をまわりの人が整理すること」も大切です。子どもがあせってうまく話せないときには、まわりの人がその子の話を整理します。ノートに書きとめ、本人にみせて確認するのもよいでしょう。 日頃の会話でも、まわりの人が話の流れを意識し、その話題のスタートとゴールや順序などを、あえて言葉にします。その際、ホワイトボードなどに話の流れを箇条書きにして示すのもよい方法です。 こうした方法で、子どもがすぐに説明上手になるわけではありませんが、話の全体像や順序に少しずつ意識が向くようになっていきます。子どもの特徴に合わせて、以下のように見通しの示し方をアレンジするのもよいでしょう。 ・ASD の子には、文字や絵で話の流れをみせると伝わりやすい場合がある。 ・ADHD の子には、落ち着きを求めるよりも話をいっしょに整理するほうがよい。 ・LD の子には、時間をかけ平易な言葉を使って、話の流れを伝えていくとよい。