地方大学でどう地球社会にエンゲージメントする学生を生み出すのか?岡山大学での取組を探る
キャンパスからローカルへ、ローカルからグローバルへ
横井さんは、各都道府県の歴史や風土、文化に敬意と配慮をしつつ、さらにそれらとシナジーを生み出しながら大学が地域のエンジンあるいは中心となってグローバル化やSDGs達成のための取り組み化を共に推進することが大切だと指摘しています。 そうすることで、それぞれの地域の固有性や唯一無二といった強みや弱みが相互に補完強化され、その結果、47都道府県が総体として多様性のある*サステナビリティとウェルビーイングの高い状態となって国力が上がる。そして日本が地球社会にエンゲージメントするという連鎖が起きていくのではないかと仮説を立てています。 (横井さん)「地方ほど多くの学生が多文化共修の機会に接していません。一部の英語が出来るエリートな学生だけが留学したり、国際会議などに参加したりしている現状があります。なので、先ずはキャンパスエンゲージメントを深化発展させ、その結果、学生のほぼ全員がローカルエンゲージメントやグローバルエンゲージメントの機会へ進んで参加できる仕組みづくりがとても重要になってきています」 横井さんは、学生と留学生をキャンパス内でどう交流させるか、キャンパス内でオンラインやハイブリッドを活用し、学生をどう世界のコミュニティや国際の世界に触れさせることができるか、多様な学習体験の機会をつくることを大切にしています。 (横井さん)「岡山は、ESDの分野では、国連機関に認められた歴史的な世界拠点のひとつです。ESDのユネスコチェアを有する岡山大学だからこそ、ESDを中核に据え、AIとテクノロジーの進歩を活用した授業を全学へ展開することで、普段は多文化共生に触れる機会の少ない大勢の学生をエンパワーメントしていきます」
若者とともにつくる地球の未来
2024年9月、国連歴史上前例のないサミットともいわれる「国連未来サミット(Summit of the Future)」が、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開催され、横井さんも国連機関のオブザーバーとしてサミットに招待参加します。 (横井さん)「未来サミットで採択予定の『未来のための協定(Pact for the Future)』の5つの章の中でも『若者および将来世代』の『世界的な意思決定への若者の参加』は特に重要になってきます。若者がもっている『夢』と一緒にどうありたい未来を共創していくのか、そしてどのような『地球社会』を共に実現していくのか」 地方や今まで国際に触れたことがなかった人たちがいかにそうした機会に触れやすくなる状況を生み出していくのか、そしてその仕組みをいかにローカライズしていくのかが、これからの地球社会の課題解決のために重要である、とお2人の熱い話を聞きながら筆者は確信しました。 世代間、国家間・多国間で連帯し、現在地球社会が直面する問題を解決するために必要な理論や知識に裏付けられた判断力、リーダーシップ、チーム力を身に着けた若者と“一緒に”、これからの地球社会の未来をつくっていく。これからのキーワードは「地球」「未来」「若者」「夢」にあるのかもしれません。 *サステナビリティ:持続可能性、おもに「"人間・社会・地球環境"の持続可能な発展」という意味で使われる ウェルビーイング:身体的な健康、精神的な健康、社会的に良好な状態、これらすべてが満たされた状態
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