自民・立民W党首選 支持候補が勝てば自分に“追い風”…透ける思惑、現職議員ぬかりなく にらむのは早期解散、衆院選
自民、立憲民主両党の党首選が終盤を迎え、今秋とささやかれる次期衆院選の「選挙の顔」が近く出そろう。投票権を持つ鹿児島県関係の衆院議員は、支持候補を決めるのに政策への共感を挙げ、早期解散をにらんで自らの足場を固めたい思惑ものぞかせる。 【写真】〈関連〉支持を訴える石破茂氏(壇上)の集会に駆け付けた小里泰弘氏と保岡宏武氏(左端)=7日、鹿児島市
自民は過去最多の9人が立候補。これまで県内を訪れ支援を求めたのは、地方創生担当相などを歴任した石破茂氏のみ。23日は史上最年少の首相を目指す小泉進次郎氏が入る。いずれも共同通信の自民支持層調査の上位だ。一方、立民は4候補がしのぎを削る。 「推薦人になることをここで初めて表明する」。鹿児島2区が拠点の自民・保岡宏武氏=比例九州=は7日、鹿児島市であった石破氏の集会で、支持する考えを示した。出馬予定者9人からアプローチを受けたと明かし、選んだのは地方人気が高いと目される石破氏。地元県議の一人は「衆院選を前に支持を集めたい狙いがあるのだろう」と読み解く。 3区の議席奪還を狙う自民・小里泰弘氏=比例九州=も集会に駆け付け、「推薦人にならないかと言葉があって何のためらいもなくサインした」と舞台裏を披露。政府で農山漁村地域活性化担当の首相補佐官を務め、石破氏の「地方から国を変える姿勢」(小里氏)は重なる。「衆院選で応援演説に来てくれれば」(出水市議)と期待は高い。
3区で議席を争う立民・野間健氏は中道保守を掲げ、「保守の人からも人気がある」と評価する元首相・野田佳彦氏の推薦人に名を連ねた。恩師でかつて自民に所属した故松下忠洋元金融相から受け継いだ保守層を固めることが連勝への鍵を握るとみられる。野田氏の経験の豊富さも強みに挙げ「野党をまとめ上げる力がある」と一票を託す。 転じて1区は、浮動票の動向が衆院選の勝敗を決しそうだ。 総裁選が情勢に影響を及ぼす可能性がある中、自民の宮路拓馬氏は当初推した野田聖子氏が出馬を断念したことを受け、小泉氏支持に回る。“小泉総裁”なら「自民に若さや刷新感への期待が集まっている証し」になるとしたうえで、「同世代の自分にも追い風になるはずだ」と分析する。 1区返り咲きに執念を燃やす立民の川内博史氏=比例九州=は、一部の消費減税に言及する現代表・泉健太氏の推薦人だ。かねてから国民生活を最重視する姿勢を示し、共通する問題意識を訴える。「物価高で生活が苦しくなっている。有権者に寄り添う政策に共感を得たい」と意気込む。
一方、4区の自民・森山裕氏は支持先を唯一明らかにしていない。総務会長を務める立場を理由にする。ただ、志布志市で21日あった集会では住民の質問に答える形で、小泉氏の祖父が南さつま市出身で、苦労して政治家を志した逸話を語り、鹿児島に関係が深いことを紹介した。
南日本新聞 | 鹿児島