【独自】日大悪質タックル問題から6年…「スキャンダラスなことを見たいのは自身だった」激しくバッシングしたメディアへの思いは?内田正人元監督が激白(2)
■「刑事事件になったほうが白黒つくと思った」「いろいろな角度から考えて」
騒動から約2カ月、第三者委員会の答えは、内田氏たちの主張を退け、「監督とコーチの指示があった」というもの。内田氏と井上奨元コーチの2人は大学を去ることになった。 しかし、警察による捜査とその判断は、大学やメディア、世論の空気と全く異なるものだった。200人以上の関係者から話を聞いたほか、試合映像の解析などを実施。その結果、監督・コーチによる「タックルの指示はなかった」との結論を出し、「嫌疑なし」の意見書をつけ、書類送検した。 そして、騒動から1年半の時を経て検察が出した判断は「嫌疑不十分で不起訴」。法的な罪には何も問われなかった。日大は懲戒解雇を撤回。大学とは和解したが、内田氏は退職を選んだ。 一方、長い時間を使ってバッシングしたメディアは、不起訴処分をほとんど報じなかった。また、第三者委員会も結論を覆すことなく、関東のアメフト連盟による「永久追放」の処分も取り消されなかった。 内田:僕個人からすると、刑事事件になったほうが良かった。そのほうが白黒つくと思ったんです。 竹山:自信はあったわけですね、自分なりに。「指示したわけじゃない」っていう。 内田:1対1の密室での話ではなく、その他大勢いるわけじゃないですか。嘘も出てきちゃうだろうし、容疑は成立しないと思っていました。警察ってそんな甘くないじゃないですか。 一番感じるのは、1つの考えに凝り固まらないこと。“これが正解だ”“いや、違う考えもあるんじゃないの?”と、いろいろな角度から考える。 竹山:6年経って、だいぶいろいろなことがわかってきたじゃないですか。ちょっと違った、あの時は間違いだったって。「内田さん、戻って来て下さい」みたいなこととか、そこ変えてもいいんじゃないかなと思うんですけど、未だに変わらないじゃないですか。そのへんはどうお考えですか? 内田:「調査と捜査は違うんだ」と。第三者委員会の調査は、名前を伏せる。「ここだけの話で集めた内容だから、刑事事件とは全然違うんだ」というふうにはっきり聞きました。彼らは、世論と外れたことを言うと自分たちの先の仕事にも関わってくる。あの場面だと。世論に寄った結果を出さないと、生活にならないわけです。だから、第三者委員会や調査委員会というものは、もう限度がきていると思います。 彼らは、完全に人間を否定する機関になっちゃっているんですよ。そこから直していかないと、やっぱり“私刑”に近い組織になってしまうと思います。人権や尊厳を考えた場合、限度があると思います。 竹山:だからこそ「変えて欲しい」ってないですか?それを受け入れたままだと……。 内田:いや、もう変わんないと思います。