ネタニヤフ首相、27日に国連演説へ-渦巻くイスラエルへの激しい敵意
(ブルームバーグ): イスラエルのネタニヤフ首相は1年前、アラブ諸国との平和がもたらす恩恵をアピールしようと国連総会に出席した。そして今年、ネタニヤフ氏は再び国連に戻って来るが、現在の中東地域は全面戦争の瀬戸際に立たされている。
ネタニヤフ氏は26日にニューヨークに到着する。同氏はレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラに対するここ数日のイスラエル軍の空爆を指揮するため、当初の訪問予定を遅らせていた。この攻撃による死者は既に600人を超え、米国をはじめ主要国が3週間の停戦を実現しようと努力しているにもかかわらず、イスラエルは地上侵攻へと突き進む恐れもある。
国連では、イスラエルの政権だけでなくネタニヤフ氏個人に対しても、しばらくなかった激しい敵意が向けられそうだ。国連演説でパレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事作戦を厳しく非難した指導者も複数いた。その一人はネタニヤフ氏を名指しで批判した、トルコのエルドアン大統領だ。
昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲攻撃と、それに続くガザでの軍事作戦によって変わり果てた中東情勢を考えると、昨年のネタニヤフ氏の演説はまるで空想だ。
27日に予定されている同氏の演説が今年は全く異なるトーンになることは明白だ。ガザで展開するイスラエルの軍事作戦を擁護することは確かだろう。ハマスの保健当局によれば、ガザの死亡者は4万1000人余りに達した。
ネタニヤフ氏はまた、イスラエルにはヒズボラの拠点を攻撃し、地上侵攻の可能性を準備する以外に選択肢はなかったと主張するとみられている。
26日には停戦協議を後押しするためネタニヤフ氏がレバノンに対する攻撃の手を緩めるよう指示したとの現地報道もあった。だが、イスラエル首相府は報道を否定し、「全力で戦闘を継続するよう」同氏は指示したと説明。連立与党を構成する一部の極右は、大きな打撃を負わせたヒズボラに立て直す機会を与えることになるため停戦は受け入れられないと主張している。