川重裏金問題で特別監察へ 海自隊員に金品提供疑い
海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡み、川崎重工業が架空取引で資金を捻出していた問題で、木原稔防衛相は5日の閣議後記者会見で、契約の適正性などを調べるため、防衛相直轄の防衛監察本部による「特別防衛監察」を実施すると明らかにした。裏金とも言える資金を原資に、潜水艦乗組員に金品などが提供された疑いもあり、木原氏は「早急に進め、判明した事実関係に基づき厳正に対処する」と強調した。 川重と防衛省は3日に問題を発表し、それぞれ調査委員会を設置して経緯を調べている。裏金捻出は遅くとも6年前に始まり、額は少なくとも十数億円に上るとみられる。乗組員と同社社員の飲食代に充てられたほか、商品券や生活用品、工具などを購入し、乗組員に提供した疑いがある。 防衛監察本部が実施する防衛監察のうち、防衛相が特に命じた事項を調べるのが特別防衛監察。防衛省によると、川重は海自潜水艦の約半数に当たる12隻を製造。3年に1回の定期検査などのほか、臨時の修理も担う。修理に関する近年の契約金額は年間約百数十億円で推移している。