牛もオンライン診療 獣医師不足に対応 北海道など77診療所に導入
ソフトバンクのグループ企業のSBテクノロジー(東京都新宿区)は20日、スマートフォンなどを活用し、家畜の遠隔診療を行う新サービス「アニマルック」の提供を始めたと発表した。北海道を中心に77の診療所に順次、導入される。獣医師不足が課題となる中、活用に期待がかかる。 「アニマルック」では、獣医師が遠隔診療を行う際に必要なビデオ通話や、診療の予約・管理ができる。診察の録画や薬の処方データなど履歴がクラウド上で管理され、往診時の過去の診療内容の確認も容易になる。 農家はLINEを使い最寄りの診療所の空き時間を確認し、診療内容を入力して予約。確定次第ビデオ通話のURLが届き、診療が始まる。診療所と電話でやり取りし、獣医師側の管理画面で予約することもできる。 同日、乳牛350頭を飼養する北海道江別市の町村農場と北海道農業共済組合(NOSAI北海道)の獣医師をオンラインでつなぎ、報道陣に診療の実演を披露した。 同社の上原郁磨執行役員CMO(最高マーケティング責任者)は離島や山間部など「すぐに向かえない地域の診療がしやすくなり、緊急時の対応も迅速になる」と述べた。NOSAI北海道家畜部の中尾茂部長は、産業動物の獣医師が年々減っていく中、「診療サービスの質を落とさないための手段として活用したい」と期待した。
日本農業新聞