サッカー海外遠征に子どもを送り出す親の出費はいくら? 中井卓大を見出した人物が語る、スペイン遠征の魅力と現実<RS of the Year 2023>
なぜ海外遠征の行き先はスペインが多いのか?
――高橋さんはそもそもどのようなきっかけで育成年代のサッカーに関わるようになったのですか? 高橋:もともと自分もサッカーをやっていて、音楽業界の会社に入ってスポーツ部門に関わることになり、プレシーズンマッチにバルサなどの海外クラブを招待する仕事をしていたのがきっかけです。その後、横浜FCで4年間事業部として関わったのち、独立しました。そこで坂本と一緒にレアルのキャンプを行うことになり、そこが本格的に育成年代のサッカーに関わるようになったきっかけです。2012年からはラ・リーガ2部CEサバデルの経営にも携わりました。サバデルで過ごした3年間で学んだサッカーの本質と知識、築いた人脈と信頼関係はいまのビジネスにも生きています。 ――取締役を務めるイープラスユー、また代表を務める会社エクスクルーシボの事業としては主にどういった展開をされているのですか? 高橋:現在はレアルのキャンプ事業からは離れて、子どもたちの海外遠征事業、留学事業がメインです。日本の子どもたちだけでなく、アメリカの子どもたちもスペインに連れていっています。エクスクルーシボという名前は社名であり、選抜チームを連れて国際大会に出るときのチーム名でもあります。 ――サッカーの海外遠征事業は高橋さんが関わるものに限らず、行き先はスペインが多い印象です。何か特別な理由があるのですか? 高橋:大会のレベルが高いからだと思います。バルサ、レアルなどスペイン国内のプロクラブのカンテラが強いのはもちろんですが、各地域の街クラブのレベルがとにかく高いんです。だからこそ海外から強豪チームが集まってくるのだと思いますし、日本チームとしても参戦する価値があるんです。わざわざ海外まで遠征に行って、ボロ勝ちして帰ってきても意味がないので。世界との力の差を見せつけられて帰ってくるからためになるわけです。 ――確かに。Jリーグのアカデミーのチームがスペインの街クラブに負けたというような話もよく耳にします。 高橋:スペインの街クラブは強いんです。だから、大会に参加したくなるし、一度経験するとまた再チャレンジしたいという意欲を湧かせる国なんじゃないですかね。トップチームでいうとイングランドも強いですが、マンチェスター・ユナイテッドの下部組織が強いかといわれるとそんなことはありませんから。