隆起サンゴ礁の島には宝がいっぱい 喜界島 住民が身近な希少植物学ぶ
「喜界島の隆起サンゴ礁上植物群落」の国指定天然記念物10周年を記念した講演会が7月27日、鹿児島県喜界町役場であった。指定に尽力した文化庁調査員の寺田仁志氏が「奇怪だね!国の宝となった海辺の植物たち」と題し講演。町教育委員会が日本ジオパーク認定を目指す町の住民向け認知向上の取り組みの一環として主催し、町民ら約40人が参加した。 隆起サンゴ礁地帯は海水や潮風を強く浴び、保水性がなく高温も続くなど、植物にとって過酷な生育環境にある。荒木海岸一帯は海際から標高約20メートルの台地まで隆起サンゴ礁段丘が形成され、その上には環境に合わせたさまざまな植物が連続して広く生育している。隆起サンゴ礁の北限域にありながら多様な植物群落が残る希少な場所として、「喜界島の隆起サンゴ礁上植物群落」の名称で2014年に国の天然記念物に指定。17年3月からは国立公園第一種特別地域となっている。 寺田氏は「ハリツルマサキ・テンノウメ群集が琉球列島で最も大規模に残る」など、荒木海岸で見られるさまざまな特徴を紹介。一方で外来種の侵入やシカの食害を危惧(きぐ)し「喜界島にはすばらしい自然と歴史がある。次世代につなげるよう足元の貴重な自然を大事にしてほしい」と呼び掛けた。中里の獣医師、高坂嘉孝さん(72)は「島民にとって身近で当たり前の風景が貴重で大切な自然と気付く機会になった」と話した。 28日には「寺田先生と散策!荒木中里遊歩道」と題した観察会があり、25人が参加。赤連の筒井大介さん(49)は「これまで何気なく見ていた海辺の宝探しができた。学んだことをより多くの人に伝えたい」と語った。