深圳を拠点に活動する高須正和が、Interop Tokyo 2024 で基調講演に登場! 中国におけるオープンソース最新動向を紹介
オープンソース技術を核とした製品、ユニコーン企業が続々登場!
かつては「利用するだけで貢献(コントリビューション)に乏しい」と言われていた中国だが、経済成長とともに技術力をつけた会社が増え、世界に名が通ったスタートアップが多く生まれる国となるにつれて、オープンソースプロジェクトへのコントリビューションも増えてきた。 近年の中国では PingCAP(TiDB) https://pingcap.co.jp/ のように、オープンソース技術を核にしたユニコーン企業が多数生まれている。ハードウェアの分野でも、オープンなISAであるRISC-Vを使って、年間数億個のチップが出荷されている。RISC-Vの開発は特定の企業によらず、世界中のIT/半導体企業が参加する国際的な非営利団体RISC-V Foundationが主導しているが、多くの中国企業もプラチナスポンサーとして加わっている。 同じく国際的な非営利団体であるApache Software FoundationやLinux Foundationなどのソフトウェア開発機構でインキュベートされるオープンソースのプロジェクトにも、中国発のものが多くなってきている。
Interop Tokyo 基調講演の概要
世界のどこであれ、オープンソースの開発者と技術が盛り上がることは素晴らしい。数年後はさらに大規模になるはずだ。 日本の開発者から見ても、新興企業の多い中国が、いい感じでオープンソースへのコントリビューションを技術進化にもお金にもつなげていることは、日本のソフトウェア・ハードウェア開発についての追い風になるだろう。 そこでこの度、基調講演の機会をいただいたInterop Tokyo 2024 においては、RISC-V,ROSなどを含め、ロボット制御やハードウェア/半導体チップ設計まで範囲を広げている中国の技術動向を、M5Stack, SpinQ(デスクトップ量子コンピュータ)の輸入などを手掛ける、中国オープンソースアライアンス唯一の外国人メンバーである自身の活動などを通じて得た知見を共有したい。 本講演は、以下の4つのパートで中国のオープンソース運動や社会への影響について紹介する。 1. 知財無視(公开GongKai)モデルと正統オープンソース もともと知財を軽く扱うことで、結果的にオープンソースと似た「公開」モデルは、今も残っている。具体例として、中華ニセモノイヤホンとRISC-Vチップを取り上げ、このモデルがどのように発展し、製造業に影響を与えているかを解説する。 2. 中国企業のロールモデルが米国企業へ 起業家やVCが、アメリカのスタートアップ同様、時価総額や成長率を重視することになったことが、多くのスタートアップを生んでいる。PingCAPの分散型データベースTiDBがその代表例だ。この動向がオープンソースへの注力をどのように加速させているかを紹介する。 3. 米中貿易対立後のオープンソースへの注力 中国企業は、Linux Foundationなどの国際的なオープンソース団体に積極的に参加している。これにより、中国発のプロジェクトが増加している現状とその背景について。 4. 中国のOSSコミュニティ/学会/産業界/政府 中国のオープンソースコミュニティと政府の関係、産官学連動で大規模な研究会やイベントがどのように盛り上がっているかについて、中国オープンソース大会でどのような発表がなされているか、企業や政府とユーザコミュニティの関わりについて紹介する。 また、中国政府の政策としてどうやってオープンソースを推進し、たとえば裁判所の判例などにどう反映されているかなどについても紹介する。 RISC-V,ROSなどを含めたロボット制御やハードウェア/半導体チップ設計、オープンソース開発、中国テクノロジー企業の技術に興味・関心のある方は、ぜひ聴講していただきたい。