新千歳空港の国際線 地上業務の受注競争激化 大韓航空が参入へ
新型コロナ禍が落ち着いて急回復する新千歳空港の国際線を巡り、「グランドハンドリング(グラハン)」と呼ばれる地上支援業務の受注競争が激化する兆しをみせている。人材サービス大手「ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス」傘下の「FMG」(千葉県成田市)は体制を拡充したばかりで、韓国の大手航空会社「大韓航空」も新会社を立ち上げて近く業務を始める。増便や新規就航を支える役割が期待されるだけに、業界全体の人手不足の緩和が課題となる。
昨年12月中旬の国際線駐機場。100人以上を乗せた韓国・清州(チョンジュ)便が到着すると、オレンジ色の作業服を着たFMGグループの社員が航空機の誘導やボーディングブリッジ(搭乗橋)の設置、手荷物の運搬のため、きびきびと動き回った。 グラハンは、航空機の到着と出発に関わる地上業務の総称。新千歳国際線では、同空港を運営する北海道エアポート(HAP、千歳)の営業許可を得た日本航空(JAL)か全日空(ANA)の系列か、グラハン会社「キャスト」を吸収合併した北海道空港(千歳)が主に手がけてきた。 FMGは、新千歳で搭乗手続きなどを担う「旅客ハンドリング」を海外航空会社から受託していたが、昨年11月に駐機場で作業する「ランプハンドリング」を始めた。作業車両の調達などに数億円を投じたという。 国際線の需要を取り込むのが狙いで、顧客は今冬のうちに8社ほどに増える予定だ。FMGランプ事業推進部の大久保広一部長(29)は「新千歳は観光立国を支える存在。国際線の拡大に貢献したい」と力を込める。 大韓航空は、グラハンを担う新会社を昨年10月に設立。業務開始に向け30人程度を採用する計画だ。新千歳で海外航空会社が自前でグラハンを手がけるのは初めて。近年、韓国は訪日ブームに沸く。グラハンも自ら賄い、新千歳発着便の増便につなげたい考えだ。