松本蟻ケ崎高校の演劇部が活動弁士に 無声映画に命吹き込む
スクリーンの傍らで、せりふや状況説明をする「活動弁士」を高校生が務める無声映画の上映会が2日、長野県松本市大手3の大手公民館であった。8ミリフィルムと映写機を所有する務台秀夫さん(71)=松本市蟻ケ崎1=と、松本蟻ケ崎高校の演劇部員が協力して披露した。感情がこもったせりふ回しと、身の回りの品で工夫した効果音で来場者を引き込んだ。 大正14(1925)年の『月形半平太』、昭和2(1927)年の『血煙り高田馬場』など4本を、務台さんが50年間使い続ける映写機で上映した。高校生は台本をタブレット端末で確認しながらスクリーンの映像にせりふや説明を合わせ、のこぎりをたたいたり、段ボールを踏み鳴らしたりして効果音を加えた。務台さんも大正琴を奏でて情感を添え、年齢、アナログとデジタルの垣根を超えた融合を見せていた。 高校の文化祭で花火を打ち上げることを事前に知らせるため、生徒会長が近所の務台さん宅を訪ねたのが縁となった。務台さんの提案を受け、篠塚さんが演劇部員に声を掛け、手分けして台本を作って練習を重ねた。 上映を終え、来場者は「とても面白かった」と出来栄えに感心し、務台さんも「フィルムに命が吹き込まれた」と感激していた。篠塚さんは「失敗した部分もあったけれど、とても楽しかった」と話し、演劇部の部長(2年生)は「映像の動きと、せりふが合った時が気持ちいい。機会があれば、ぜひまたやりたい」と話していた。
市民タイムス