62歳で住宅ローンが「1000万円」残っています。利上げの可能性があるなら「退職金」の残りで繰上げ返済したいのですが、なにか“リスク”はあるでしょうか…?
日本銀行がマイナス金利を解除したことが大きなニュースとなりました。これによって大手銀行をはじめ金融機関の預金金利が引き上げられるなど、私生活にも影響がでています。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい? 特に大きく影響が出ているのが「住宅ローンの金利上昇」です。大手銀行の住宅ローンで固定金利の引き上げが実施されています。 このように金利情勢が大きく変化しているので、金利がさらに上がることを懸念して住宅ローンの繰り上げ返済を考えている人もいるでしょう。特に「退職金」がある場合は、退職金の一部や全部を繰り上げ返済に充てることも選択肢の1つです。 そこで本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済をする際のメリットとデメリットについて紹介していきます。
繰り上げ返済のメリット
ローンの繰り上げ返済とは、ローンの残高の一部または全部を当初の予定よりも前倒しで返済する方法です。返済手数料の負担はありますが、多くのメリットもあるので検討している人もいるでしょう。 住宅ローンの繰り上げ返済をするメリットとしては、「繰り上げ返済後の残りの返済について、毎月の支払いか支払期間のどちらかを少なくできる」、「利息を支払う必要がなくなる」といったことが挙げられます。 まず、繰り上げ返済後の残債について、支払期間をそのままにして毎月の支払金額を減らすことが可能です。また、毎月の支払いをそのままにして支払期間を短くすることもできます。 また、利息を支払う必要がなくなるので、そのお金を負担しなくてもよくなります。例えば、元金3000万円で返済期間が35年のローン(金利はフラット35から1.960%)を25年間返済したとすると残りの返済期間は10年です。このタイミングで1000万円を繰り上げ返済すると、100万円以上の利息を支払う必要がなくなります。
繰り上げ返済のデメリット
繰り上げ返済のデメリットとしては、「一括で返済することで生活費がなくなってしまう」ことが考えられます。生命保険文化センターの調査によると、老後の最低日常生活費(夫婦2人の場合)は23万2000円です。事例の場合は、62歳の人が残っている退職金で繰り上げ返済を考えていますが、それ以外の余裕資金がないと日々の生活に影響が出るかもしれません。 特に65歳までは公的年金の受給が原則としてできないので、退職後に収入がない人や収入が少なくなった人は、退職前と同じような生活を送ることが難しいと考えられます。そのため、生活資金に余裕がない場合、繰り上げ返済はリスクが大きいです。