シティのストラテジスト、米利下げ一時停止必要-エコノミストに異議
(ブルームバーグ): 米銀シティグループの金利ストラテジストは、米金融当局が利下げを一時停止すべきだと主張し、12月の0.5ポイント利下げ予想を堅持する同行エコノミストをさらに孤立させている。
ストラテジストのジャバズ・マタイ氏とアレハンドラ・バスケス氏は22日付のリポートで12月6日に発表予定の11月の米雇用統計について、「弱い数字でなければ、米金融当局は利下げを一時停止すべきだ」と指摘。雇用創出が弱かったとしても、「失業保険申請件数など、他の労働市場データが労働市場の回復力を示していると主張できる」と述べた。
ストラテジストらは投資家に対し、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ停止に備えたポジションを推奨した。ただ、「ハト派姿勢の米金融当局が利下げを見送るハードルは高い」と付け加えた。
一方、シティのエコノミストは、0.5ポイント利下げの可能性が後退したことを認めながらも、その予想を堅持。11月の雇用統計が低調なら、FOMCは0.5ポイント利下げを実施できるものの、米失業率が上昇せず4.1%にとどまれば、0.25ポイント利下げの方が可能性は高いとアンドルー・ホレンホースト氏とベロニカ・クラーク氏は今月のリポートで予測した。
FOMCは9月18日に0.5ポイント利下げを実施した際、ウォール街では当局が利下げ幅を代わりに0.25ポイントとするとの見方もあった。経済に回復力の兆候が見られる中で当局が11月7日に0.25ポイントの追加利下げを決めるまでには、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースのエコノミストらは、年内に0.5ポイントの追加利下げ予想を撤回していた。
債券投資家の間では全般に、今後1年間に予想され得る利下げ幅の見通しが縮小している。米経済と株式相場の好調に加え、11月5日の米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けインフレが再加速するとの見方が強まった。来年のFOMC会合にリンクしたオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利は、今後1年間で約73ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを織り込んだ約3.86%。10月初旬時点では3%を下回っていた。