年々多様化する犯罪...福島県警が「捜査支援分析課」今春新設 カメラ映像を迅速に分析、初動捜査強化へ
年々広域化・複雑化・多様化する事件への対応力強化に向け、福島県警は新年度に向けた3月下旬の組織改編で、事件現場で初動捜査を行う機動捜査隊と情報分析などを担う刑事総務課の捜査支援分析室を統合し、刑事部内に「捜査支援分析課」を新設する。森末治本部長が6日の年頭記者会見で明らかにした。 福島県内では刑法犯認知件数が増加傾向にあり、都市部や中山間地域などを問わず広域的に発生しているほか、交流サイト(SNS)などでつながり、離散集合を繰り返す集団「匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)」やサイバー空間を使った犯罪が脅威となっている。新たな課の設置により、情報分析や物的証拠など客観的要素に基づく迅速な捜査をより強力に推進する。県警が本部に課を新設するのは2023年4月のサイバー犯罪対策課以来。 県警によると、実際の捜査で防犯カメラやドライブレコーダーの映像分析などから摘発に至った事件・事故も多く、客観的情報は公判などでも大きな役割を果たすという。捜査支援分析課の規模は70人規模になる見込みで、大規模人員の利点を生かし、防犯カメラの映像など発生から時間とともに失われる客観的証拠を収集して早期の事件解決につなげる。 また、組織改編では警察活動の広域性や機動性を高めるため、地域部地域企画課内に「自動車警ら隊」を新設する。現在は各署の自動車警ら班が警ら活動を行っているが、自動車警ら隊は本部直轄として各署の活動を補強する役割を担う。県内いずれの地域でも昼夜を問わず広域的に活動し、各署の負担軽減にもつなげたい考え。隊の規模などは検討中だが、県警地域企画課内の職務質問技能指導班のメンバーを中心に構成される見込み。今後、県内方部ごとの設置も検討する。 森末本部長は記者会見で「変化する治安上の課題に柔軟、的確に対処し、引き続き県民の安全と安心と平穏を確保するため総力を挙げて取り組む」と述べた。
交番や駐在所では弾力的に運用
県警が社会情勢の急激な変化への対応として昨年策定した治安向上プログラムでは、自動車警ら隊の新設のほか、駐在所を現行の居住型だけでなく通勤型にするなど交番や駐在所の弾力的な運用の検討も盛り込まれていた。森末本部長は駐在所の運用について「地域の実情に向き合い、意見を聞きながら引き続き検討していく」とした。
福島民友新聞社