【B1クラブ展望/越谷】B1仕様にモデルチェンジ完了…指揮官の舵取りにも注目
1試合平均失点でリーグ最少を誇るディフェンスを武器に東地区2位の座は確保したが、波の大きな試合運びになることも多く、35勝25敗と一昨シーズンから10勝減。アルティーリ千葉には21ゲームもの大差をつけられた。しかし、プレーオフではそのA千葉に敵地で連勝。越谷アルファーズは、ついに到達したB1の舞台でもその勢いと勝負強さで強敵に立ち向かう。 その土台を作ってきたメンバーの多くがチームを去ったが、昨シーズンも軸となった松山駿とLJ・ピークの存在で、アウトサイド陣は盤石。笹倉怜寿と星川堅信の伸びしろも大きく、B1の強度に慣れていけば十分に戦えるだろう。また、パリオリンピックの日本代表メンバーには残れなかったものの、井上宗一郎はB2で試合経験を重ねて一皮むけた印象。再び臨むB1では、精神的な強さも発揮するに違いない。 新加入選手では、ブラジル代表経験者のティム・ソアレスと現役フィリピン代表のカイ・ソットに大きな期待がかかり、安定した活躍が求められる。特に、アジア特別枠選手であるソットの働きは、ピークを活かす意味でも重要なカギとなるだろう。そして、安齋竜三ヘッドコーチが標榜するスタイルを体現するためには、ジェフ・ギブスと橋本竜馬が果たす役割はこのうえなく大きい。2人は戦略面にとどまらず、精神的支柱としてもチームに欠かせない存在となっていくはずだ。 チームとしては初のB1だが、全ての選手がプレーした経験を持ち、その点で不安はない。何より大きいのは、安齋HCの求心力と強い意志。シーズンを通して選手にバスケと向き合う姿勢を植えつけ、その成長を促してきたことがB1昇格につながった。今シーズンも試合を重ねて力をつけていけるかどうか、安齋HCの腕の見せどころだ。 現在はクラブとしても、さらに地域に根差した活動に力を入れ続け、新アリーナ建設への機運を高めようという状況。クラブ全体の発展のためにも、B1初年度に力強くチャレンジしていきたい。
■KEY PLAYER/PG #7 松山駿
元来はシューターとしての働きが目立っていたが、安齋HCによる司令塔起用に応え、プレーの幅が広がった。どのような状況でも顔色を変えず、常に落ち着いてプレーできるメンタルの強さも武器。 B1での経験はチームで最も少ないが、今シーズンのチームでは在籍歴最長となり、チームの顔としても松山が受ける期待はますます大きくなる。その自覚をより強く持ち、B1に越谷旋風を巻き起こす原動力となれるか。 文=吉川哲彦
BASKETBALL KING