メガヒットを記録した『虎に翼』

会場に向かう伊藤は全身黒のスタイリッシュなファッション。到着後はテラスでビール片手に演者らと談笑した

「カンパーイ！」 話題の朝ドラ『虎に翼』は８月31日にクランクアップ。その１週間後――200人近い関係者が集まった白金のレストランで、主演の伊藤沙莉(さいり)（30）が乾杯の音頭を取っていた。 【貴重！】『虎に翼』打ち上げも大盛り上がり！伊藤沙莉、森田望智、ハ・ヨンス…素顔写真 座長として約１年間にわたる撮影を完走した伊藤はこの日、″同窓″のハ・ヨンス（33）や桜井ユキ（37）らと歓談したり、″恩師″の小林薫（73）からのビデオメッセージやプロデューサーの挨拶に号泣したりと、大盛り上がり。打ち上げは５時間にも及んだ。 『虎に翼』は、日本初の女性弁護士・三淵嘉子氏の半生に基づくオリジナルストーリー。聡明でチャーミングなヒロイン・寅子(ともこ)が「はて？」と言いながら、様々な不条理と向き合い、男社会だった法曹界を突き進む姿に、多くの人が心を打たれた。最終話まで２週間、９月10日時点での最高平均世帯視聴率は第100回の18.9％。『舞いあがれ！』や『ブギウギ』をも上回るメガヒットを記録している。 ◆大ヒットした要因 同志社女子大学教授でメディア評論家の影山貴彦氏は、「『虎に翼』が成功したのは２つの要因がある」と話す。 「まずは吉田恵里香氏の脚本。男女格差や人種差別、ジェンダー、原爆裁判など多数の社会問題を取り上げ、幅広い世代から共感を得た。にもかかわらず、この手のドラマにありがちな息苦しさがなく、当事者に寄り添って問題提起しつつ、ふっと力が抜けるような笑いの要素もうまくミックスされています。２つ目の要因は、脚本の魅力を最大限に引き出した主演の伊藤沙莉。出征する夫・優三（仲野太賀・31）を送り出す際に、二人が涙を必死に堪えて、お互いに変顔をするシーンが忘れられません。シリアスな演技と笑いを誘う演技が両方できるという彼女の持ち味がこの作品にぴったりハマった」 脇を固めた演者たちの株も急上昇中だ。寅子の女学校時代の友人で、のちに義姉となる花江を演じた森田望智(みさと)（28）は、『全裸監督』（Ｎｅｔｆｌｉｘ）で演じた伝説のワキ毛ＡＶ女優という強烈な役でインパクトを残したが、花江は全く異なるタイプ。日本初の女性弁護士として脚光を浴びる寅子とは対照的な、家を守り続ける良き母。それでいて、物語の序盤で『したたかに生きなさい』と発言する策士の一面も見せ、話題となった。 「注目株はもう一人。土居志央梨(どいしおり)（32）は寅子の同窓で、戦後は弁護士として同じ法曹界を生きた山田よねを演じました。よねは悲しい過去の影響で常に男装。無愛想で、寅子とぶつかることもよくありましたが、土居自身は明るくてにこやかな人。よねという複雑な役を見事に演じて注目された彼女は、10月クールドラマ『無能の鷹』（テレビ朝日系）のレギュラー出演が決まっています」（前出・影山氏） 最高の脚本に最高の役者。大ヒットの秘訣は、まさしく″虎に翼″だったのだ。 『FRIDAY』2024年9月27日・10月4日合併号より