突然の中止…匿名の保護者「生徒間でテスト問題が広がっている」と指摘、テスト前日に取りやめ決定 中学3年生1万人が対象 一部の私立高校、結果を合否の参考にしていた
埼玉県さいたま市内の中学3年生約1万人を対象に、6日一斉に実施される予定だった「第2回さいたま市中学校長会学力検査」が、前日に急きょ取りやめになったことが分かった。市中学校長会(小熊誠会長)は5日夕、保護者宛てに「試験の公正性、公平性に関し、疑義が生ずる可能性が想定される」として、延期もしくは中止を連絡する文書をメール配信した。問題が漏えいした可能性があり、同会で調査を進めている。 流出…生徒39人の「成績」漏れて広がる 教諭が印刷した成績表、教室に掲示して拡散…なぜそうなった
市教育委員会などによると、5日午前8時半ごろ、匿名の保護者から市教委に届いた投書を開封したところ「生徒の間で学力検査の問題を撮影した画像が広がっている」と指摘されていた。同封されていた画像は、実際に6日のテストで出題される問題だったため、校長会に連絡した。 連絡を受けた小熊会長(日進中学校長)が同会役員やテスト担当者らと協議し、テスト中止を決めた。帰宅した生徒もいたため、「学校安心安全メール」で対応したという。 市学力検査では、9月に実施された第1回の際に、QRコードによってインターネットで見られる国語の解答が、今回の問題の解答解説にひも付けられていたというミスもあり、今回の問題を差し替えていた。10月29日付で保護者宛てに、テストの運営業者から謝罪文が出ている。 問題流出の可能性について、校長会は教科数を含め流出箇所、方法、管理の仕方などを市内の全学校にアンケート調査をしている。
小熊会長は埼玉新聞の取材に対し「テストに向け勉強してきた生徒の皆さんを不安な気持ちにさせてしまい、保護者の方々にご心配、ご迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思っています」と話した。今後、テストの実施方法についても検討せざるを得ないとしている。 ■さいたま市中学校長会学力検査(校長会テスト) 進路相談や進路指導のため、校長会の主催で実施している学力テスト。市内の公立中学3年生(埼玉大学付属中含む)を対象に年3回、同一問題で一斉に約1万人が受ける。教科は国語、数学、理科、社会、英語の5教科で、一部の私立高校は結果を合否の参考にしている。