技術サービスのアウトソーシング提供「JTP」は底値圏離脱の構え ガバメントクラウド関連に名乗り、配当利回り3%超
【天野秀夫 中小型厳選株】 日経平均は5月以降、3万8000円ラインを下限、3万9000円ラインを上限とする往来相場が継続しています。為替の円安傾向と3月期末配当再投資の買い需要が下支え要因として働いています。しかし、今週末に掛けては波乱の芽も膨らんでいます。週末、月末、四半期末が重なり、企業の自社株買いが自粛期間に入ることや、機関投資家による持ち高調整の動きが見込まれ、需給の足を引っ張る可能性が懸念されます。 一方、東証グロース250指数は底入れ感も台頭しています。日本取引所グループはTOPIX(東証株価指数)の改革案を公表しました。2028年7月にTOPIX算出の対象銘柄数を1200程度に絞り込むほか、成長性のある企業を取り込むため、スタンダードとグロースからおよそ50銘柄を加える計画を明らかにしました。実施は4年後とまだまだ先で相場的なインパクトは限られましたが、スタンダードやグロース市場の時価総額上位銘柄に対する関心は今後、高まっていく期待があります。 方向性が定まりにくいなか、流れは個別株物色の展開が継続しています。株価3ケタの値頃感を持つ東証スタンダードの「JTP」(2488)が注目されてきそうです。同社は日本に進出する外資系IT(情報技術)企業を主な顧客に持ち、テクニカルサービス、ヘルプデスク、トレーニングなどの技術サービスのアウトソーシングを提供している異彩企業です。 クラウドのIT環境に対応したセキュリティー運用サービスや内部不正に対する内部脅威対策、体系的な知識やスキルを学べる人財教育サービスなどを展開しています。アマゾンウェブサービス(AWS)、IBM、マイクロソフト、グーグルなどの各種認定パートナー企業にもなっています。 5月にはメガキャリアのソフトバンクが企業向けにサービスを提供している「生成AIパッケージ」の開発をサポートする協業開始をリリースしたほか、6月19日には政府機関と自治体共通のクラウドサービス「ガバメントクラウド」において、クラウドの統合運用管理補助者を担うシステムインテグレーター向けの支援サービスを開始したと発表しました。さくらインターネットに代表されるガバメントクラウド関連株となりました。 会社側の今25年3月期業績予想は、売上高87億2200万円(前期比7・4%増)、営業利益6億8000万円(同7・7%増)、経常利益6億8000万円(同2・1%増)、当期利益4億9000万円(同1・5%増)と変化率は乏しいですが、当期利益は連続で過去最高益を更新し、年間配当は前期比1円増の37円(うち第2四半期末配当12円)で、株価900円台半ばにある配当利回りは3・8%の高水準です。