若山牧水賞の2作品同時受賞は5年ぶり…大辻隆弘さん・高山邦男さんの歌集「タイトルや歌い方が対照的」
1日に発表された第29回若山牧水賞(宮崎県など主催)は、5年ぶりの2作品同時受賞となった。三重県松阪市の歌人、大辻隆弘さん(64)の歌集「橡(つるばみ)と石垣」(砂子屋書房)と、東京都武蔵野市の歌人、高山邦男さん(65)の歌集「Mother(マザー)」(ながらみ書房)で、選考委員の伊藤一彦さんは「タイトルのつけ方や歌い方、テーマが対照的。味わいがあって面白い」と述べた。
大辻さんは県立高校再任用教諭で、短歌結社「未来」の編集発行人なども務める。受賞作では教師生活での日々などを取り上げており、選考委員の栗木京子さんは「何げない風景や空間が時間によって移り変わる動きを絶妙に表現している」とした。大辻さんは「賞は長年の憧れ」としている。
高山さんはタクシードライバーで、短歌結社「心の花」の編集委員を務める。認知症の母との生活を題材とした第2歌集での受賞となった。選考委員の高野公彦さんは「表現上のテクニックをあまり使わずに、わかりやすく歌を作っている」と講評。高山さんは「歌人でない方にも読んでほしい」とのコメントを出した。