w.o.d.×go!go!vanillas 良き友であり良きライバル 相思相愛の関係が生み出した熱狂的な一夜
w.o.d.が対バンツアー『w.o.d. presents “スペース・インベーダーズ VI”』を開催。3年振りとなる対バンツアーは6月から7月にかけて東名阪の3カ所を回る。タイトルには“ロックミュージシャンが集まりインベーダーのごとく日本の音楽シーンを侵略していく”という意味が込められているという。スタートとなる愛知公演はgo!go!vanillasがゲストに呼ばれた。 【全ての写真】w.o.d.×go!go!vanillasが競演した『スペース・インベーダーズ VI』愛知公演(全20枚) ライブ中でもお互いに「大好きなんです」と牧達弥(go!go!vanillas/vo&g)とサイトウタクヤ(w.o.d./vo&g)が自負する姿が物語っていたように、ふたりは“音楽の話ができる”バンドと共演できることの喜びが終始溢れ出していた。牧の言葉を借りるならば「先輩・後輩の関係じゃなく“ロックの友”」なのである。両者の熱と熱がぶつかり合った対バンライブは、称え合う姿勢も見受けられ、良き友でもあり良きライバルでもあるのだと感じる一夜となった。 会場いっぱいにオーディエンスの期待が広がる中、先攻となるgo!go!vanillasが登場した。牧が人差し指を天井に突きさし「名古屋ー!」と始めたのは「HIGHER」。歌声と音が発せられた瞬間、フロアには歓声が湧き起こる。初っ端から「声を聞かせて!歌って!」と前に身をのり出し、バニラズはフルスロットルだ。続く「エマ」では長谷川プリティ敬祐(Ba)がw.o.d.コールを促し、「デッドマンズチェイス」では牧が舞台袖でライブを観ていたサイトウのところまで向かい、肩を組みながら一緒に歌う場面も。どれだけ興奮を引き上げていくのだろう、と思わずにはいられないステージングが序盤から繰り広げられた。 牧は「タクヤと初めて会ったのは大阪のラジオ番組で、それから呑みに行くようになって音楽の話ばっかりしてる」と嬉しそうにサイトウとの馴れ初めを語り出す。次第に発していく言葉に熱が帯びていき「3ピースはバンドの奇跡で、お客さんに人間の魂を見せれるかたちだと思ってる」とw.o.d.を称賛し、「w.o.d.にはもっと大きくなってほしいし、そうなった時にバニラズも一緒にいたい。俺たちのライブをしよう!最高のロックンロールをしようぜ!」と焚きつけていくのだった。 柳沢進太郎(g)がソロを披露した「鏡」、牧がハンドマイクに持ち替え軽快なステップを刻んだ「one shot kill」。「カウンターアクション」では牧と柳沢が一緒のマイクで歌ったり、背中合わせでギターを掻き鳴らす。ジェットセイヤ(ds)の疾走感のあるドラムを支えに重厚なバンドサウンドが渦巻く中で、バンドという形態に詰まった魅力を存分に体現していった。勢いは失速することなく「マジック」でラストを迎える。耳でも目でも魅了していくバニラズのバンドとしての強度が発揮されていた。 後攻となるw.o.d.は「STARS」でスタートを切った。1音目からさっきまで鳴っていた音とは異なる音に身体が包まれていくのがはっきりと分かる。バニラズはメンバー全員の演奏が崩れる隙間もなく、ピースがぴったり嚙み合わさった豊潤な音像であったのに対して、w.o.d.は一人ひとりの演奏が際立ち、それぞれのピースが絶妙なバランスで成り立っている好戦的でスリリングな音像だった。まさに牧が語ったw.o.d.への称賛の言葉――“3ピースはバンドの奇跡であり、人間の魂をみせられるかたち”だと感じずにはいられなかった。サイトウは「w.o.d.です、どうぞよろしく」と手短に挨拶をし、1曲目で上げたギアを維持したまま「楽園」「Fullface」へ。曲を終えると「初日どうすか?めっちゃいいやん!」とフロアに立ち込めた熱気にご満悦のようだった。