《ブラジル》墜落事故犠牲者なりすまし詐欺横行「世界は恐ろしい人々で満ちている」
サンパウロ州ヴィニェードで9日に発生したヴォエパス社の航空機墜落事故に関連し、犠牲者の家族になりすまして寄付金を募る詐欺行為が横行中だ。犠牲者の氏名と写真を悪用し、SNS上に偽プロフィールを作成しているケースが報告されており、これが悲劇の中にある遺族に対して更なる苦痛を加える結果となっていると12日付コレイオ・ブラジリエンセなどが報じた。 62人の犠牲者の1人、リオ出身の体育教師イザベラ・サンタナ・ポズオリさん(30歳)さんは、事故に遭う数分前に搭乗する様子をSNSに投稿していた。悲劇から2日も経たない11日時点で、イザベラさんの氏名と写真を使った偽のアカウントが、少なくとも六つ確認された。 その一つに、詐欺師がイザベラさんの母親を装い、棺桶の購入資金をPIX(即時決済システム)で送金するように促すケースも見られた。さらに、イザベラさんの母と自称する別のアカウントでは、プロフィールには「ファンクラブ」との記載があり、詐欺に引っかからないように警告する文章まで投稿されている一方で、棺桶の購入資金を募っている。この投稿には、事故が経済的に困難な時期に発生したとの説明が添えられていた。 イザベラさんの恋人ジョアン・リベイロさんは、彼女がSNS上で公開した最後の投稿のコメント欄で、この問題について警告し、「彼女の名前を悪用して寄付を求めるあらゆる詐欺行為を放置せず、必ず通報してください。素晴らしい人物を失っただけでなく、この世界がなおも恐ろしい人々で満ち溢れていると知り、非常に残念です」と書き込んだ。 CNNは、イザベラさんの母親を装った詐欺師に連絡し、資金提供の申し出を行ったが、その直後に寄付を募る投稿が削除された。 同機に搭乗していた犠牲者の中には、航空会社のクライアントの権利擁護を行なっていた弁護士、ライアナ・ヴァサッタさん(32歳)が含まれており、彼女の名前を使った偽アカウントが少なくとも四つ発見された。 その一つは、家族への寄付を求めるだけでなく、違法賭博の「フォーチュン・タイガー」の宣伝まで行っていた。ライアナさんは国内外の航空会社を相手取った90件以上の訴訟を担当。乗客の弁護におけるデジタル・インフルエンサーのような存在となっており、2012年に作成された彼女の本物のアカウントでは、1万人以上のフォロワーを集めていた。 事故で亡くなった機長ダニーロ・サントス・ロマーノさん(35歳)の名前でも、SNS上に六つの偽アカウントが作成されており、これらは家族によって運営されているように見せかけ、遺体の認証や葬儀手続きなどのために経済的援助が必要だと主張している。彼の恋人であるタリタ・マシャドさんは「他人の痛みにつけ込もうとする人間がいるのは大変不幸なことです」と悲痛な胸の内を明かした。