地震発生から1か月 家族亡くした男性「何も変わらない」
日テレNEWS NNN
倒壊した自宅からぬいぐるみなどを運び出す男性。能登半島地震で妻と長女を亡くし、毎日毎日“思い出の品”を捜し続けています。発災から2月1日で1か月、いまの思いとは。 ◇ 楠健二さん(55)。輪島市にある自宅の隣のビルが倒れ、妻の由香利さん(48)と長女の珠蘭(じゅら)さん(当時19)を亡くしました。 楠さんは毎日、時間が許す限り“思い出”を捜し続けています。亡くなった珠蘭さんらが作った、家族6人が写ったアルバムを見つけ… 妻と娘亡くす 楠健二さん(55) 「いつなんだろう、これ。家族全員です」 「パパとママにってくれたんです」 ◇ 居酒屋を営んでいた楠さん。楠さんの店に魚を卸していた女性は… 楠さんの居酒屋に魚を卸していた女性 「何も言ってあげられない。もう悲しいだけで。(楠さんが)『この魚どうしようかな。買おうかな』って言ってると、奥さんが隣で『いいじゃん、買っちゃいなよ』って。すごく仲のよいご夫婦でした。娘さんもすごいかわいらしい方。すごい悔しいしショック、残念です」 さらに思い出の品を見つけた楠さんは… 楠健二さん 「(このぬいぐるみは)亡くなった娘が、二男にプレゼントしたもの。2人も亡くなってるから、本人のものが見つかるとやっぱり悲しくなるよね」 「(このマグカップは)亡くなった娘が、女房と俺に白と黒のをくれた」 2月1日で地震発生から1か月。今の思いは。 楠健二さん 「発災から何日たったとか、そんなものはどうでもいいんです。2か月たって亡くなった2人が帰ってくるなら待つけど、ずっと何も変わらない。俺は」 ◇ 約300棟が全焼した「輪島朝市」。31日に「news zero」が話を聞いたのは和菓子店を営む中浦政克さん(60)です。2週間前「news zero」が取材した際に、がれきでふさがっていた店の近くの道は… ――完全に埋まってしまっていたが 老舗和菓子店を営む中浦政克社長(31日) 「ここでは私1人、孤立状態でいたので」 がれきが撤去され、通れるようになっていました。 取材中、中浦さんの携帯に1本の電話がかかってきました。 中浦政克社長 「もしもし。その辺まできてくれるとわかりやすいです。よろしくお願いします」 「(電話は)ボランティアさん」 いま、中浦さんはボランティアらと一緒に、輪島朝市を復興させようと活動を始めています。 中浦政克社長 「おつかれさま、中浦です」 ボランティア 「おつかれさまです」 早速、片付けを手伝ってもらうことになりました。 長野からのボランティア 小菅勇太郎さん(22) 「周りの学生とか、ボランティア行きたい方も多くて。ちょうど春休みになってるので、生活再建に必要なところ、手助けしていけたら」 ――若い力は頼りになる? 中浦政克社長 「動きも早いし力もあるから、数倍早い片付けができている。(今回の震災は)悲しい話ばかりではなくて。応援してくれる人たち、いい方々とめぐり会ってるので、大切にしていかなければならない財産」 (1月31日放送『news zero』より)