【大学野球】「歴史的なゲームを経験できるのは幸せ」 早大との優勝決定戦に臨む明大・田中監督の心境
宗山との思い出
2024年のチームをけん引する主将・宗山塁(4年・広陵高、楽天ドラフト1位)と過ごした思い出も多い。 「高校3年春、中井先生(哲之監督)とグラウンドに練習見学に来たんですが、宗山はじっと見ているだけ。一般的な高校生は、いろいろな反応を示すものなんですが、大学でやっていけるという手応えがあったんですかね(苦笑)。確かに高校時代から、あの守りは大学生のレベルに達していました。1年春の途中から遊撃手で起用してきましたが、宗山に向かってきた(レギュラー争い)のは村松だけ。村松が4年夏のオープン戦は先発で半々で使いましたが、右膝が万全ではなかったので、村松は二塁に回ってもらいました。宗山は自分から崩れることはなかったです」 リーグ戦では歴代7位の118安打。早大との優勝決定戦も「彼なりの普通をやってくれれば、結果が出る」と、何も心配はしていない。 早大の先発は慶大1回戦から中2日で、伊藤樹(3年・仙台育英高)が予想される。「朝のミーティングでもアナリストから指示が出ていた。追い込まれてからの精度が高いので、その前にいかに仕留められるか」と万全の対策。明大の先発投手についても「本人にも言っています。かたくならずに行ってほしい」。リードすれば、終盤は「自信を持って、送り出せる」と、リリーフエースの浅利太門(4年・興國高、日本ハム3位)が待機している。 田中監督がキーマンに指名したのは四番・杉崎成(4年・東海大菅生高)だ。今夏のオープン戦で結果を残し、自らの手で主砲の証明である背番号25をつかんだ。リーグ戦中盤以降は苦しむも、最終戦となった法大2回戦で2本の二塁打を放ち、復調気味だ。「(三番)宗山が警戒されて四球を取ってくれれば、四番の杉崎がやってくれるはず。(五番の)小島(小島大河、3年・東海大相模高)、(六番の)木本(木本圭一、3年・桐蔭学園高)は勝負強さを持っている」と、手応え十分である。 「歴史的なゲームを経験できるのは幸せです」 明大は今春から三塁ベンチの際は、アイボリーではなく、グレーのユニフォームを着用している。優勝決定戦は三塁。「私が明大1年秋、44年前に初めて来たのが、背番号38のグレーでした。最後もグレー。感慨深いものがあります」。東京六大学でのラストさい配。優勝決定戦に勝てば、明治神宮大会出場が決まる。内海・島岡ボールパークで、同じ屋根の下で学生ともに寝食をともにしてきた田中監督にとって、集大成のタクトである。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール