ソフトバンクのドラ1投手は「欠点らしい欠点が見当たらない」 元エース・攝津正が分析する若手投手たちと小久保新監督への期待
攝津正インタビュー 前編 ソフトバンク投手陣と小久保新監督について 小久保裕紀新監督のもと、4年ぶりのパ・リーグ優勝と日本一を目指すソフトバンク。春季キャンプでは、投打ともに熾烈なアピール合戦が続いている。 【写真】ミニスカ衣装も話題 ソフトバンク「ハニーズ」PayPayドーム直撃取材!16人フォトギャラリー 現状の戦力について、ソフトバンクで5年連続開幕投手を務めるなどエースとして活躍し、2012年には沢村賞など数々のタイトルを獲得した攝津正氏はどう見ているのか。インタビュー前編では、キャンプを見て注目したピッチャー、小久保監督に期待することなどを聞いた。 【ドラ1の前田は「すぐにでも活躍できそう」】 ――まずルーキーについて、ドラフト1位で入団した左腕・前田悠伍投手はいかがでしたか? 攝津正(以下:攝津) 最初のブルペンでの投球は捕手を立たせたまま20球、2回目はひざ立ちの状態で25球を投げていました。それを見て思ったのは、「かなり完成度が高い」ということ。非常に投球フォームが安定していますし、欠点らしい欠点が見当たりません。いじるところもないかな、という印象です。 線はまだ細いですが、これから体ができていけば、すぐにでも一軍で活躍できそうな雰囲気があります。ブルペンでは変化球は投げず真っすぐのみだったので、今後は実戦でどういうピッチングができるか、実戦での真っすぐや変化球の質・精度がどれぐらいなのか、に注目ですね。 ――ドラフト2位ルーキー右腕・岩井俊介投手、同4位ルーキー右腕・村田賢一投手はいかがですか? 攝津 岩井投手は"素材型"という感じです。真っすぐの質が高く、スライダーもけっこう鋭く曲がるのですが、まだまだ荒削りですね。タイプ的にはパワー系のピッチャーで、短いイニングで投げさせるとハマりそうかなと。 一方の村田選手は完成度が高いですね。コントロールがよく、どの球種でもストライクが取れるピッチャーだと思います。
【先発陣で「柱になる投手」は?】 ――先発ピッチャー陣はどう見ていますか? 昨シーズンは、ふた桁勝利をマークしたのが有原航平投手(10勝5敗)だけでした。 攝津 先発の顔ぶれはほとんど変わらなそうですが、(リバン・)モイネロ投手が先発に転向しましたね。まだ状態はよくわかりませんが、昨年に左肘の手術をしているため、「どのくらい投げられるのか」という不安はあります。いきなりローテーションでフル回転させるのは少し怖いので、登板回数や球数は徐々に増やしていったほうがいいのかなと。 ――コンディション以外でモイネロ投手に不安はないですか? 攝津 先発は球種が多いほうがいいと思いますが、彼は真っすぐ以外にチェンジアップ、カーブ、スライダー、カットボールを持っています。どの球種もめちゃくちゃいいので心配ないですが、問題は、リリーフで投げていた時のような良質のボールが投げられるかどうか。 先発は長いイニングを投げなければいけませんし、ランナーが出てからのピッチングなど、リリーフの時とは状況がかなり変わります。クイックが苦手なタイプではないので、大丈夫だとは思いますけどね。 ――キャンプで状態のよさが目についた先発ピッチャーは? 攝津 同じく先発に転向する2年目の大津亮介投手です。紅白戦や練習試合などで失点をしていますが、真っすぐの球威や変化球の精度などはよかったです。ルーキーイヤーだった昨シーズンは中継ぎで46試合に登板し、抑えたり打たれたり、いろいろな経験をしましたね。今シーズンはそれが生きるんじゃないかなと。もともとコントロールがよく、変化球はどれも精度が高い。真っすぐも速くてバランスのいいピッチャーなので、ある程度は勝つんじゃないかと見ています。 東浜巨投手もよかったです。紅白戦では2回無失点と結果を出しましたが、真っすぐの走りがいいですし、シンカーなども効いていました。昨シーズンは有原投手や和田毅毅投手に続く柱がいなかったので、実績と経験のある東浜選手が復調してくれれば心強いです。