ユーロ圏の賃金上昇急加速、ユーロ導入来のペース-ECB利下げに逆風
(ブルームバーグ): ユーロ圏の賃金に関する重要な指標が、単一通貨が導入されて以降で最も大きく上昇した。インフレ鈍化の中で金融緩和を進めようとしている欧州中央銀行(ECB)の計画が試されることになる。
ECBが20日発表したところによると、7-9月(第3四半期)の妥結賃金は前年同期比で5.4%上昇と、前四半期の3.5%上昇から加速。主にドイツが上昇をけん引した。
ECBは12月の政策決定会合では今年4回目となる利下げを行うとみられているが、賃金上昇加速は2025年の一連の利下げについての投資家やアナリストの期待に水を差すかもしれない。
経済が回復の足掛かりを得るのに苦戦していることから、大半の当局者はさらなる利下げを示唆しているが、そのペースや幅についてはますます議論が分かれるようになっている。
一部の当局者は、経済活動を支えインフレ率の急低下を回避するために迅速な対応を望んでいる。一方で、賃金上昇が依然として堅調なサービスセクターにおける価格上昇圧力が根強いことを主な理由に、慎重な対応を求める声もある。
ECBは25、26年の賃金上昇が大幅に減速し、インフレ率が持続的に2%の目標に戻ると予測している。
ドイツでは、付属合意を含む妥結賃金が第3四半期に前年同期比で8.8%上昇。ドイツ連邦銀行(中銀)によれば、1993年以来の高ペースだった。
ただ、同連銀は賃金上昇のピークはすでに過ぎた可能性があり、速いペースは続かないだろうとの見通しも示した。
原題:Euro-Zone Wage Growth Surges in Test for ECB Rate Cuts (1)(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Mark Schroers