発案から10年目の公開を実現させた、「情熱と執念と“坂口健太郎”」
ぜひ、映画館で観てほしい
最後に見どころなど、ひと言ずつメッセージを。 武内:時代ってまわるじゃないですか。いまがちょうど二周めくらいで、昭和30年代のものがオシャレに思えるようなところがあるんじゃないかと思って、そうしたところも楽しんでいただけるように美術は意識しました。あり得ないファンタジーではありますが、こういうこともあるかもと想像力を働かせて観て頂ければ。ぜひピュアな気持ちで観ていただけるとうれしいです。 稲葉:この物語は、映画が庶民の娯楽の王様だった最後の時代を舞台としています。それは映画からテレビへと移り変わる時代で、実はテレビからネットやスマホに代わろうとする今と似ていると思うんです。そんな移りゆく時代と忘れ去られていくものへの郷愁というテーマも感じ取っていただきたいです。それと、この物語は色彩をモチーフとしています。主人公たちの恋が輝きはじめると、スクリーン全体も色鮮やかになっていくという映像的な仕掛けもほどこしました。そんな物語を、美雪と健司がいる世界へと地続きになっていることが体感できる劇場で、是非観ていただきたいですね。 ◇ ◇ 尽きない“映画愛”。涙活に間違いなく役立つ同作をいつか名画座でも観てみたい。