高校の共学化加速、男女別学はピーク時の3分の1に…埼玉県では卒業生ら反対で存続議論
山口では、県内唯一の別学の中村女子高が25年度から一部の学科で男子を受け入れる。
■知事らに意見書
共学化に向け、卒業生や保護者も巻き込んだ議論が起きている。
埼玉県は県立男子高、女子高計12校を抱える。多くが旧制中学や高等女学校の流れをくむ進学校として知られる。同県で女子が男子高から入学を拒まれているとする苦情が寄せられたとして、県男女共同参画苦情処理委員が昨年8月、「共学化を早期に実現すべきだ」と県教育委員会に勧告。1年以内に対応策を示すよう求めた。県教委は、8月末までに勧告への対応を報告するという。
一方、卒業生や保護者らは、共学化に反対する署名を開始。5月、12校の保護者代表が、保護者の6割弱から9割が共学化に反対とする意見書を知事らに提出した。一部高校の男子生徒は、県教委の担当者に「定員割れなどのやむを得ない理由もないのに、共学化されるとしたら悔しい」などの意見を伝えた。
県では02年にも今回と同様の勧告を出された県教委が翌年、現状維持と結論づけた。
昭和女子大現代教育研究所の友野清文特別招聘(しょうへい)研究員(ジェンダー教育学)は、99年に施行された男女共同参画社会基本法などが背景の一つとし、「学校が社会の縮図である必要はない」と指摘した上で、「選択肢として別学があることには、一定の意味がある。見直しの議論を行う際は、生徒や保護者らの声を聞きながら丁寧に対応していくことが大切だ」としている。
大学・短大でも共学化の動き
女子大・女子短大でも共学化の動きが進む。
鹿児島純心大(鹿児島県薩摩川内市)は2023年度から男子学生の受け入れを始め、校名もそれまでの「鹿児島純心女子大」から「女子」を削除した。佐賀女子短大(佐賀市)も今年度から一部の学科で男子学生を受け入れ、同短大は理由について、「少子化による学生の確保と、人材育成を求める社会からの要請」と話す。
長崎市の活水女子大も今月、大村キャンパスの看護学部で25年度から男子学生を受け入れると発表した。ただ、校名変更や他の学部への男子の受け入れは検討していないという。