過去には死亡事故も…「電動キックボード」の危険性 免許不要でヘルメットも努力義務 交通違反や暴走運転も急増
レバーを押すだけで、音も出さずに静かに動き出す「電動キックボード」。ペダルを漕ぐ必要がなく、坂道も楽に登れて快適。 【検証動画】「死亡する可能性も…」15センチの縁石でも危険!?時速20キロでレールに乗り上げた時の衝撃はこちら【3分22秒~】 国が道路交通法の規制緩和によって普及を後押しする中、新たな乗り物として急速に広がっています。しかし、一方通行を逆走したり、交差点の真ん中で停止したりと、交通違反や暴走運転も急増。事故も増え、死者が発生するケースも。電動キックボードの今を取材しました。 ■衝突すると大事故の可能性が…過去には死亡事故も 2024年2月、名古屋市中区の一方通行を逆走する電動キックボードが、事故を起こした瞬間を防犯カメラが捉えていました。キックボードは、後ろから歩行者の男性をはね飛ばします。 何とか立ち上がった被害者の男性は脚をおさえますが、事故を起こしたキックボードは走り去ってしまいました。男性は肋骨などを折る重傷を負い、警察はひき逃げ事件として捜査。事故を起こした40代男性は後に逮捕され、罰金50万円の略式命令を受けました。 「JAF愛知支部」は、キックボードがぶつかった時の衝撃を調べる衝突実験を行っています。歩行者に見立てたダミー人形の頭部に衝撃測定センサーを装着。頭部への衝撃を表す数値「頭部障害値」(HIC)を測定します。HICが1000を超えると、脳障害の可能性が高くなるそうです。 中区のひき逃げ事故とほぼ同じ時速20キロに加速して衝突すると、人形の頭は激しく地面に打ち付けられました。 (JAF 武藤敏行係長) 「歩行者のHICは6957.8という非常に高い数値が出ています。脳にひどい損傷が発生する可能性が考えられます」 危険は、運転する側にも。車道と歩道の境目に敷かれる縁石は15センチほどの高さですが、スピード次第では危険です。 JAFで行われた実験では、縁石に見立てた高さ10センチのレールをセット。ヘルメットなしの人形が乗った電動キックボードを、時速20キロで通過させます。最大速度20キロに達したキックボードは、レールに乗り上げて激しく転倒。人形の頭が地面にたたき付けられました。