今永昇太、不屈の魂「殴られても立ち上がる」…前回10失点KO糧に、序盤から出力全開
◇27日(日本時間28日) 大リーグ ジャイアンツ3ー5カブス(サンフランシスコ) カブスの今永昇太投手にとって、ジャイアンツ戦の登板は不安との戦いだった。前回のメッツ戦は3回10失点KO。めった打ちにあい、積み上げてきた自信は音を立てて崩れた。「眠れない日があったり、今日の試合前も弱気になってしまった。でも、最後やるのは自分しかない。へこみそうになりながらまた戻して、へこみそうになりながらまた戻してみたいな感じで」。 左腕が今回の登板前に思い出したのは、カブスのカウンセル監督がキャンプで選手に語りかけた言葉だ。「殴られても立ち上がればいい。別にパンチを喰らうことは悪くはない。その後に立ち上がるのが大事なんだとおっしゃっていた。今週はすごくパンチを食らった状態。なかなか厳しい1週間だったが、立ち上がろうとする姿勢を誰かに見てもらえればいい」。映画「ロッキー」の主人公ロッキー・バルボアのように、不屈を誓った。 ジャイアンツ戦では序盤から速球を軸に飛ばした。メッツ戦で、長いイニングを投げるために出力を抑えて痛打を浴びた反省を生かした。「ここで何も成し遂げていない自分が、なんで8割で抑えようとしているんだと。そこはものすごく過信していた」。キレのいい、浮き上がるような球でジャイアンツ打線を翻弄。3回にはメジャー渡米後、自己最速の94.6マイルをマークした。93球中、7割を超える66球が速球だった。 5回まで1安打無失点投球。だが、出力全開で入れば、終盤が勝負となる。6回にピンチから3連打を浴びるなど3失点して追いつかれ、勝ち投手の権利は消えた。「(出力は)出し切った。そういう時に6、7回でピンチが起きる。あそこで6回無失点、7回も何事もなかったように切り抜ける。その投球を監督から求められているし、やっていきたい」。新たな課題は見つかったが、屈辱のKO劇から一歩進んだ。今後もファイティングポーズを崩さず、メジャー屈指の左腕の階段を登っていく。
中日スポーツ