アジア太平洋地域で急拡大する生成AI支出、年間成長率ほぼ100% 普及の鍵は「教育」か?
業界別の生成AI導入動向
金融サービス業界は、アジア太平洋地域で生成AIの導入が最も急速に進んでいるセクターの1つ。IDCの予測では、同セクターの生成AI支出は2027年までに43億ドルに達し、2022年から2027年のCAGRは96.7%に上る見通し。金融機関では、業務効率化や反復作業の自動化、不正検知や複雑な文書作成などのバックオフィス業務の最適化に生成AIが活用されている。顧客に提供するパーソナライズされたファイナンスプランニングツールやレポートの作成にも役立っているという。 ソフトウェア・情報サービス業界は、金融サービスに次ぐ第2の生成AI活用セクターだ。マーケティングやデータ分析、ソフトウェア開発など、幅広い分野で生成AIの汎用性が発揮されている。マーケティング領域では、ウェブサイトやブログ、ソーシャルメディアのコンテンツ作成を効率化し、マーケティング戦略の最適化や顧客エンゲージメントの強化に貢献。機械学習や分析などのデータ関連分野では、合成データの生成によるデータセットの拡充やモデルのパフォーマンス・レジリエンスの向上に威力を発揮している。またソフトウェア開発の現場でも、コーディング作業の自動化やプロトタイプ生成、開発サイクルの加速などにより開発者の生産性を高めている。 上記シンガポールやマレーシアに見られるように、アジア太平洋地域の政府機関も生成AIを積極的に導入しており、業務効率の改善や透明性の向上、市民との対話促進など、大きな効果が期待されている。各国政府は、生成AI分野の教育・トレーニングの推進役を担い、新たな雇用機会の創出や技術イノベーションハブの発展を後押しすることが期待されている。 小売業界でも、多様な消費者ニーズと進化するデジタル技術への対応に生成AIの導入が広がっている。生成AIを活用したパーソナライゼーションの強化で顧客体験を向上させつつ、商品設計やコンテンツ作成の自動化によりタイムトゥーマーケットを短縮。ダイナミックなビジュアルコンテンツやインタラクティブな体験の創出で、顧客エンゲージメントとロイヤルティを強化する動きが活発化しつつある。