「現状を知って」 在日クルド人の写真展開催 川口で15、16日
20日の「世界難民の日」に合わせて埼玉県内で暮らすクルド人の現状を知ってもらおうと、支援団体「在日クルド人と共に」(蕨市)は15、16日の両日、SKIPシティ(川口市上青木)内の県産業技術総合センターで写真展を開催する。改正入管難民法の施行や外国人排斥の街頭宣伝活動が頻繁に行われるなど、不安定な立場に置かれている現在の県内クルド人の民族的背景から埼玉での暮らしと、それに伴う問題について、2人の写真家らが作品などを通して訴えかける。 10日には、難民の認定に係る申請を原則2回までとして、3回目以降は申請中であっても強制送還させることを可能とする改正入管難民法が施行された。県内にも対象となる外国人は一定数いるとみられ、その中には在留資格を持たず、出入国在留管理庁(入管庁)での収容を一時的に解かれた「仮放免」状態のクルド人も含まれている。 県内の支援者らによると、10日以降に入管庁を訪れた仮放免のクルド人に「送還に関するお知らせ」という案内が配布されたという。案内には「退去のための計画を策定」や「送還予定時期の説明を行った上で強制的に送還する場合があります」などといった文言が記載されていた。
同団体によると、世界難民の日に合わせた写真展は今年で3回目。今年の展示題名「クルド人の今とこれから」について、同団体の温井立央さん(52)は「厳しい現状だけではなく、共に暮らしていく今後を模索するきっかけにしたいという思いを込めた」と話す。展示する写真は最多の47に上り、トルコなどの現地での苦境や入管庁による収容の様子など、難民をテーマにした写真も展示される。 今回の写真展で20点の写真を出展した、写真家の鈴木雄介さん(40)は、不安定な局面を迎えている在日クルド人の現状について「日本での暮らしに希望を感じている一方で、制度や交流サイト(SNS)の心ない声などにより、複雑な不安を抱えている人が多い」と考察する。鈴木さんはこれまでにトルコやシリアなどを訪れ、現地で迫害されたクルド人を見聞きしてきた経験から、国内で暮らすクルド人への取材を開始。同団体が主催する写真展などで定期的に作品を発表してきた。
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