あの“スズキ”がアフターパーツのイベントへ初出展!「ユーザーの声を直接聞きたい」理由…DAMD PARTY 2024
愛知県のガーデンふ頭ひがし広場で、2024年10月に開催されたDAMD PARTY 2024(ダムドパーティ2024)。そこにアフター系のイベントではまず見かけない、スズキのブースが出展したので注目した。クルマメーカーからアフターマーケットへの、積極的なアプローチが感じられる試みとなった。 【画像全13枚】 ◆出会いはeスポーツから、画面と現実の境界を超えてつながりが共鳴する ダムドパーティ2024の運営本部の横の芝生スペースに『ジムニー』を展示するシンプルなブース展開を行ったスズキ。これまでアフターパーツ関連のイベントにはクルマメーカーが直接出展することは少なかったのだが、今回スズキとしてはほぼ初の試みとしてダムドパーティへの出展を決めたという。業界的にも希有なクルマメーカーの出展とあって取材スタッフも注目することになった。 スズキとダムドとのつながりは、外から見るとダムドのボディキットのベース車にジムニーのほか、『ハスラー』、『エブリイ』など、多数のスズキ車が用いられていることが関係していると思われがちなのだが、少し様子が異なっているようだ。スズキのスタッフにブース出展の経緯をうかがうと、より深い関係性があったようだ。 そもそもの両社の出会いはドライビングシミュレーターを使ったeスポーツとNFT(Non-Fungible-Token:代替不可能な暗号資産)とのプロジェクトが発端だった。このプロジェクトにはダムドとスズキが協賛していた、そこでの両社の目的は“若者のクルマ離れを防ぐひとつの試み”としての協賛だった。そんな同じ思いを共有することになったダムドとスズキはこの時から接近することになる。 ◆アフターパーツの世界へ飛び込む!新しいファンを生むために一念発起 その経験を経てスズキでは“次世代ユーザーの掘り起こし”“ユーザーのコミュニティ作り”に積極的に関与していくことを考えるようになった。そのひとつの取り組みがアフターパーツの世界にスズキとして参加することだったという。 そこでまずはアフターパーツメーカーが主催するイベントとはどんなものなのか、ユーザーは何を求めて来場するのか、どんな満足感を得ているのかなど、リサーチの意味を込めて出展することになったのが今回のダムドパーティ2024だった。 正直に言うと、ブースにはノーマルのジムニーの展示を中心にグッズが並べられているくらいだったのだが、少し話をうかがうとスタッフが身につけていた前掛けにはスズキの思いがこもっていることを教えてもらった。 ただの前掛けに見えるこの商品、実はスズキの前身である鈴木織機が製造していた織機を使って織られた生地を使っているとのこと。スズキの持つ100年を超える歴史を重んじて今につながる技術の伝承をしっかりとユーザーに伝えることも忘れていない。そんな取り組みも歴史のあるクルマメーカーならではだ。 さらに立ち寄った来場者とジムニーやハスラー、エブリイの話に始まり、ジムニーのスペアタイヤカバーなどに描かれているサイのイラストは巷では“リノちゃん”と呼ばれているといったスズキのプチ情報を紹介したり、そこから来場のきっけかなども含めてさまざまな話をしていたスタッフ。ダムドパーティーに訪れた意識の高いユーザーへのリサーチで色々なものを吸収したようだった。 これらのリサーチ結果を、今後スズキがどのようにしてユーザーのコミュニティを作るためのベースにしていく予定だという。近い将来、スズキ車に乗るユーザー間のコミュニティが何らかのスタイルででき上がってくる予定なので、スズキユーザーは期待しよう。 クルマメーカーとアフターパーツメーカーがますます強固にタッグを組む時代になった近年。アフター系のイベントへのクルマメーカーの出展も増える予感なのでイベントの活性化も含めて、その動向にも期待したいところだ。 土田康弘|ライター デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
レスポンス 土田康弘