皇室とディズニーリゾートの知られざる深い縁 「昭和天皇」から「愛子さま」までご訪問に
プリンセスがサプライズで
また、2年間に及んだ英国留学からの帰りに訪れたのもアメリカだった。1985年10月、ホワイトハウスにレーガン大統領を訪ねた後、東部地域から南部、そして西部へと全米を巡った。この旅の後半、西海岸のロス近郊で再び本場のディズニーパークを見学し、ゲストブックにサインしている。ただし、私的な訪問のため、宮内庁サイドは「公式なものでなく、詳しい資料は残っていない」としている。さらには他の皇族が東京ディズニーリゾートを訪れたこともあった。 1986年6月9日には愛子さまの叔母・黒田清子さん(当時紀宮)がディズニーランドをご訪問。学習院女子高等科の学友と一緒にパーク内を回ったが、SPは女性の私服警察官1人だけ。身辺警護は主にディズニー側のセキュリティー担当者が行っていた。さらに三笠宮家の彬子さまも2007年4月2日、友人の大学生とともにシーを訪問している。 ディズニーパークは本拠地の米国2カ所、日本、仏・パリ、中国・上海、香港各1カ所の計6カ所。このうち香港にはお城の中であらゆるプリンセスと会うことが出来る「ロイヤル・レセプション・ホール」があり、ディズニーフリーク(マニア)から絶大な支持を集めている。 「エルサかラプンツェルか。どのプリンセスが出て来るか知らされないサプライズ演出が人気の秘密のようです」(大手旅行代理店関係者)
日米友好の意外な側面
香港ディズニーランドではこのほか「ホームカミング・セレブレーション」でモアナが香港へ航海し、全く新しいステージのショーを繰り広げる。アニメ映画は、命を生む女神「テ・フィティ」の心が盗まれ、世界が闇に包まれてゆくことに始まり、集落の長である父の後継者として期待されるモアナが緑色の石となって発見されたテ・フィティのハート(心)のネックレスを託され女神に返しにいく冒険の物語。 心躍る音楽やダンス、人形劇で彩られたショーでは、このモアナの姿が映画とは違った設定で描かれる。父の後継を期待する声も根強い愛子さまと共通点のあるモアナ。そうしたプリンセスの冒険を肌で感じられる仕掛けが「東京ディズニーリゾートにはない」(同代理店関係者)と好評なのだ。 ただ、香港は英国からの返還後、中国が自国の一部としているため、皇族が足を向ける機会はほとんどない。1968年に返還前の香港に三笠宮寛仁 さまが立ち寄られたケースなどしかないという状態だ。2014年に秋篠宮ご夫妻がアフリカ旅行に行った際も、香港国際空港はあくまでもトランジット(乗り継ぎ場所)だった。一方で香港自体は極めて親日的で、日本総領事館の主催する天皇誕生日祝賀レセプションが例年、香港の元行政長官ら政府関係者や教育・文化関係者、叙勲受章者などを一堂に集めて、盛大に開かれているほどだ。 皇室の国際親善にも携わる外務省儀典官室の元関係者は 「日本と香港の関係は親密かつ強固です。香港の方々の中には『私たちのDNAは中国大陸ではなく英国です』と話す人も少なくありません。日中関係の高い壁はありますが、愛子さまにはあくまでも友好の使者として香港を訪れていただきたいところです。“プリンセス同士”の交流を楽しまれるのも一興ではないでしょうか」 と述べている。さらに、宮内庁OBはこう語る。 「皇室と固い絆で結ばれた伝統ある王室を戴く英国と並び、世界のリーダーであり同盟国でもある米国は日本にとって最も重要なトモダチです。米国文化を象徴するディズニーと皇室が相思相愛なのは、意外ではなく当然のことなのです」 朝霞保人(あさか・やすひと) 皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。 デイリー新潮編集部
新潮社