戦争で兄を亡くしたウクライナ兵 実話を人気の“漫画”に……日本の美大生の挑戦『every.16時特集』
ウクライナで戦う兄弟の姿を漫画で描いているのは、日本の大学生。実話を基にした物語です。モデルとなった元兵士と交流し、作品づくりを進めています。漫画に託した願いとは。未来ある子どもたちに伝えたいことは――。 【動画を見る】「子どもたちに希望を…」日本の美大生が漫画に託す願い 兄を失ったウクライナ兵『every.特集』
■日本の美大生が描くウクライナ
福原恵さん、19歳。都内に住む、美術大学1年生です。高校時代には、初めて応募した国際漫画コンテストで入賞。漫画家になることが、夢の1つだといいます。 そんな福原さんがこの日、向かったのは… 福原恵さん(19) 「ウクライナの食べ物や雑貨の店が出店していると思うので、それを見てみたい」 2024年7月、東京・代々木公園で行われた「第1回ウクライナフェスティバル」は、避難してきた人などが、ウクライナの文化を発信するイベントです。出店を回りながら、しきりに写真を撮る福原さん。 福原さん 「漫画を描く上で、資料集めで写真を撮っています。ウクライナの人たちとあまり会う機会がないので、その人たちがどういう表情をしていてどんな物を売っているのか、そういうところはちゃんと見て、集めておきたいなと思います」
■全10話翻訳してウクライナへ届けたい
福原さんが描いている漫画の日本語版のタイトルは、「九転十起(キーウテンジッキ)」。 ウクライナの首都「キーウ」と、何度でも立ち上がる、という意味の四字熟語「七転八起(しちてんはっき)」をかけています。 漫画は全10話の予定。完成した後に翻訳し、ウクライナの小学校に無償で提供することを目指しています。 現在、4話目の作画を始めている福原さん。アシスタントの馬場まな実さん(17)と一緒に作っています。 福原さん 「ウクライナで普通に生活していた人が戦争に行くストーリーなので、割と身近に読んだ人に伝えられるかなって」
■元兵士の思い “子どもたちは私たちの未来”
主人公のモデルは、ウクライナに暮らす、ナザール・グラバーさん(32)。モデルや俳優として活動していましたが、29歳の時に、兄・イリヤさんと一緒に戦場の最前線で戦いました。 2022年12月24日、兄は仲間をかばって帰らぬ人に…。ナザールさん自身も胸を負傷し、今も、後遺症に苦しんでいます。それでも… 主人公のモデル ナザール・グラバーさん(32) 「子どもたちは私たちの未来です。だからできることはすべてしたい」 戦争でつらい思いをしている子どもたちに前を向くための、希望を見つけてもらいたい――