「自民党総裁選」への足場固めか…「ポスト岸田」の最有力候補「石破茂」の勉強会に15人も参加した訳
「よこしまな意図があるわけではない」(石破氏。以下発言すべて) 2月27日、石破茂元幹事長(67)は水月会(石破グループ)の政策勉強会を開き、「改めて防災省の必要性を問う」をテーマに講演。旧二階派の細野豪志元環境相(52)や谷公一元国家公安委員長(72)を始め、旧安倍派や茂木派を含む15人の議員(本人も含む)が参加した。 【独占】「そう言っていただけるのはありがたい」石破茂が明かした胸中「次期総理候補と呼ばれ続けて」 「純粋な勉強会で、権力を獲得するためのものではまったくない。私も38年もこの仕事をやっているが、これ知らなかったな、ということがたくさんあるので、知恵を借りられたら、ありがたい」 石破氏はそう述べ、秋の自民党総裁選を見据えての足場固めと見なされるのを牽制した。その6日前の21日、高市早苗経済安保相(62)は勉強会を開催し、19人の議員が参加。総裁選立候補に際し、推薦人20名が必要で、高市氏はあと一歩と迫り、存在感を示した。 石破氏は歯に衣着せぬ物言いで岸田政権を批評し、世論調査では「次の総理・総裁に相応しい政治家」のトップを走り続けている。「ポスト岸田」の一番手が何を語るのか、と政局とからめて報じようと政治部記者が集まった。 「マスコミはよく集まるなぁ」 マイクを握る直前まで国会議員は10名に届かず、石破氏はそう独り愚痴りながら、地震多発国である日本で防災省の必要性を口ごもりながら語った。 「能登半島地震の避難所の体育館でプライバシーもなく雑魚寝だ。101年前に起きた関東大震災の時から変わっていないのは、一体どういうことか」 日本と同じく地震多発国で、災害対応が進んでいるイタリアでは、700名の専任職員からなる市民保護庁が設置されている。20の州ごとに地方支分部局には災害用のテントやベッド、トイレの備蓄を行なっている。発災から遅くとも48時間以内にトイレやキッチン、ベッドを積んだトレーラーが被災地に到着するという。 「登録したシェフも駆けつける。シェフには休業分を国が補償し、失意のどん底にある被災者にコース料理を振る舞う。家族や家を失った人を励ますのは温かい食事だ、という考えで、日本では冷たいおにぎり、菓子パンをいつまでも食べるのか。コース料理やワインが振る舞われても、尊厳ある生活は被災者の権利だとイタリアでは認知され、『贅沢だ』という批判も出ない」 防災専門の部局を創設する考えを示し、こう続けた。 「イタリアのようにキッチンカーを作りたくとも、どの省庁が予算を要求するのか。予算を要求する官庁が存在しないので、関東大震災から変わらずに体育館で雑魚寝のまま。内閣府の中に防災担当の部署はあるが、各省庁から来て2年ごとの人事異動で入れ替わってしまう。専任の職員もおらず、経験と知識を蓄積ができない」 石破氏はライフライン確保のために井戸を掘ることも提唱。能登半島地震では断水となり、飲み水は自衛隊による給水で何とかなるも、トイレや洗濯などに使う生活用水は雨水や雪どけ水を貯めて使っていた。 「杉並区では震災時のトイレや洗濯用の生活用水確保として井戸整備の費用を一部補助している。土地保有者なら権利も難しくなく30万円で掘れる。水道局が水脈を把握し、どこを掘れば水が湧き出るかも知っている。一方で自衛隊は井戸の掘り方は訓練していない。所管省庁があれば問題は解決できる。デジタル庁もこども庁もできてなぜ国民を保護する省庁はできないのか」 過去に宮城県女川町の避難所で宿泊したことも語った。非主流派として岸田政権に物を言い続ける石破氏は体験を通じた政策通としても知られている。勉強会は月1回程度で続けていくという。 「石破の勉強会には行くな、そのような雰囲気はまだあるんだろうな」 終了後の囲み会見でそうこぼしつつも、「旧安倍派の方(菅家一郎氏、木村次郎氏)が来てくれたことは今までなかった光景。かつては絶対に来なかった」と派閥解消で無派閥議員が増えた効果を語った。 「ああ、知らなかった、と気づきがある勉強会はあったほうがいい。意識を持たれた方が増えていくといいな、とは思います」 無私無偏の行いか、はたまた総裁選への足場固めか--。 取材・文:岩崎 大輔
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