路線バス維持の“救世主”となるか 鳥取市で「自動運転バス」実証実験 担い手不足解消へ業界も期待
7年で運転手3割減 バス路線存続の危機
鳥取市が自動運転バス導入を目指す背景にあるのは、運転手不足と将来のバス路線の維持だ。 鳥取県バス協会によると、鳥取県内では、2016年度末に544人いた運転手が、2023年度末には399人と約3割減少。車両も85台削減された。 鳥取市内では、この10年間で青谷町や気高町など7地区でバス路線の短縮や廃止、減便が相次いでいる。
担い手不足対策へ 業界も「自動運転」に期待
鳥取県バス協会の橋本孝之専務理事が「運転手は減っていたが、コロナ禍での移動抑制などでバスの需要が急激に減り、10年分の減少に相当すると表現する経営者もいる」と指摘するように、新型コロナの感染拡大が運転手不足に追い打ちをかけた。 一方で、県内のバス運転手の平均年齢は60歳と高齢化が進む。県バス協会の橋本専務理事も「業界としては、運転手の補完につながり、活性化への大きなインパクトとなる」と自動運転バスの導入に期待を寄せている。
公共交通の維持へ 関心高めるきっかけにも
今回の実証実験では、技術面の検証だけでなく、導入に向け、事業性などの課題を洗い出し、市民に自動運転への理解を深めてもらうのも目的だ。 鳥取市交通政策課・宮谷卓志課長は「公共交通は皆さんが利用しないと残らないんだと再認識していただき、そこから課題の共有ができたら」と実証実験のもう一つの目的について説明する。 実証実験の期間中に開かれた市民向け試乗会には400人以上が参加、最先端の乗り物を体験した。 試乗した市民からは「走行中、ちょっとガクっとくるところがあるけど、安心できる。便数が増えればいいと思う」、「安全すぎるぐらいのマージンをとっている気がする。こういう乗り物が増えてくるんでしょう」とおおむね歓迎する声が聞かれた。
課題山積も公共交通活性化の起爆剤に
鳥取市は、今後も実証実験を重ね、将来は有料の路線バスとしての導入を目指している。 具体的な導入時期は未定だが、鳥取市交通政策課の宮谷卓志課長は、今後、効率的な運行体系の検討やメンテナンス態勢、費用面が課題になるとしたうえで、自動運転バスの導入を担い手不足の解消に加え、公共交通全体の利用増加につなげたいと話した。 (TSKさんいん中央テレビ)
TSKさんいん中央テレビ