東京CPIで為替市場が反射的に反応するリスク-モルガンMUFG
(ブルームバーグ): モルガン・スタンレーMUFG証券のエコノミストは、26日に発表される4月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が特殊要因で大きく低下する可能性があり、為替市場が反射的に反応するリスクがあると警鐘を鳴らした。
同証券の山口毅チーフ日本エコノミストと乾真之エコノミストは24日付リポートで、「総務省統計局次第だが、東京都の高校実質無償化の特殊要因で、東京都区部4月CPIは大きく下がるリスクがある」と指摘。その場合、「為替市場に反射的な反応が出るリスクに注意したい」と記した。
東京都は2024年4月から私立を含む全ての高校の授業料助成で所得制限をなくし、実質無償化を開始した。東京CPIを担当する総務省当局者は25日、ブルームバーグに対し、授業料に関する都の施策の影響を「現在検討中」と述べ、明確な方針を示していない。これのため予想が難しく、サプライズとなる可能性がある。
ブルームバーグのエコノミスト予想によると、4月のコアCPIは前年比上昇率は2.2%と、前月の2.4%から鈍化する見込み。
一時的な要因による統計の振れが日本銀行の政策判断に影響を及ぼす可能性は低いものの、緩和的な金融環境は維持されるとの見方から円安圧力が強まりかねない。円相場は1ドル=155円台と約34年ぶりの安値を連日更新し、数日中にも政府・日銀が円買い介入に踏み切るとの見方も出ている。鈴木俊一財務相は25日、参院財政金融委員会で、「市場をしっかりと今注目をしているところだ」と述べた。
モルガン・スタンレーMUFG証券の推計によると、高校授業料の実質無償化の影響が反映された場合、コアCPIを0.7ポイント程度押し下げるリスクがある。その場合、コアCPIは2%を大きく下回る可能性がある。
なお、今回の措置は東京都限定であり、全国の消費者物価指数への影響は限定的とみている。
--取材協力:横山恵利香.
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Keiko Ujikane, Toru Fujioka