「殺人、誘拐も当たり前に…」闇バイト強盗の凶悪化で需要増 「パニックルーム」の気になるお値段
大事なのは侵入者に見つかる前に逃げること
「侵入者が現れたら、まずは見つかる前に逃げることが大事。アメリカでは物盗りと遭遇したら、殺されてしまう危険性が大なので、パニックルームは『先に逃げる』ための動線をまず計算して設計されています」 【壁から突然部屋が…】すごい…侵入者の目を欺くパニックルームの隠し扉 闇バイト強盗の多発により、日本でももはや物盗りに遭遇することは命の危険を意味するようになった。強盗犯はあえて住人がいるタイミングを狙って住居を襲い、現金の隠し場所やキャッシュカードの暗証番号を聞き出すという手口が主流になっている。そして、そんな中で日本でも「パニックルーム」が注目されているという。 冒頭のコメントはアメリカンホームなどの輸入住宅の建設を手がけるアンカーハウジング代表の吉山和實氏によるものだ。近年では核シェルターを手がけていることなどで知られる同社だが、問い合わせが相次いだことから新たにパニックルーム事業を始めた。 パニックルームとはセーフルームとも呼ばれる。万が一の災害や侵入者から身を守るために設けられた家の中の避難スペースだ。隠し扉と強固な扉に守られ、緊急時に安全が確保できるように設計されている。アメリカではポピュラーな存在であり、とくに富裕層の家では一般的に設置されているという。日本でも’02年にジョディ・フォスター主演の『パニック・ルーム』という映画が公開されているのでその名前を耳にした人もいるだろう。 「パニックルームの特徴としては、侵入者に発見されないための隠し扉、外部から物理的に侵入されないための強固な壁、外部に助けを呼ぶための独立した通信手段などが挙げられます。さらに部屋の中で快適に過ごすための設備として、換気システムやトイレ、水や食料などの備蓄も必要。また、部屋の外部の様子をモニタリングするためのシステムを設置することも多いです」(吉山氏、以下コメントも) 隠し扉には本棚を横にずらすと出現するものや、鏡やアートパネル自体が隠し扉になっているタイプなど、さながらサスペンス映画の世界のよう。また部屋の上下左右を囲む壁は12㎜の鉄板を使用しており、吉山氏によると「マグナムでも撃ち抜けない」そうだ。通信手段に関しては昔は電話線を切られても大丈夫なように、独立した回線をひいたそうだが、現在はバックアップの携帯電話を置いたり、インターネット回線をひくことが多いという。また、セキュリティ会社に即座に警報を送れるようなパニックボタンを設置することもある。 ◆設計の段階で避難の動線を想定する そして、最も重要だと吉山氏が語るのはパニックルームの設置場所だ。 「地上階と比べて侵入経路が限られていて、防御力が高いのは地下です。人目につきにくいので、部屋の存在を隠すことも容易。ここに素早く避難できるように、ベッドルームのクローゼットなどから避難経路の動線を設計の段階で作っておくことが理想的です。 地下が使用できなくて地上階に設置する場合でも、家を建てる初期の段階で侵入者の経路をある程度想定して、どういう動線でどこに逃げれば早く安全を確保できるかを考えてから、建物全体を設計したほうがいいですね」 もちろん、すでに建っている家に後付けで設置することも可能だ。 「1階の和室の6畳間などはあまり使っていない家が多いですが、そういう部屋の四方を鉄の壁で囲ってしまって入り口を隠すことでパニックルームに改築できます。費用は1000万円ほど。頑丈な壁で囲まれた部屋なので地震にも強いです」 設計段階からパニックルームを作る場合の費用も1000万円ぐらいからで、核シェルターにもなる地下埋設型の場合は3000万円ほどかかるという。 凶悪犯罪の増加から、今後はますます需要が増えそうなパニックルーム。戸建て住宅どころか、マンションの部屋もパンパンで荷物がトランクルームにはみ出しているような本誌記者にはあまり縁がなさそうな話ではあるのだが……。 画像提供:アンカーハウジング(https://ancarshelter.jp/)
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