ダンサーKELOとは何者なのか?
世界各国のストリートでパフォーマンスを披露してきたダンサーのKELO。彼は今、芸術としてのダンスを追求する。 【写真を見る】KELOがヴァレンティノ、ディオールの最新ファションを着こなす!
二ック・ドレイクの「ピンク・ ムーン」に合わせて、東京湾を背に朝陽を浴びるKELOが体をくねらせる。内面と向き合い、今この瞬間に感じたものを即興で表現する。それにしても、ニック・ドレイクとは意外な選曲だ。 「何気ない風景、何気ない日常空間をドラマティックな空間に変えてくれる感覚があって。今日みたいな天気の良い日に聴きたくなる曲です」 今、KELOのステージはストリートに限らない。アーティストのMV、あるいはファッションウィークのランウェイなど、活動の場は多岐にわたる。クリエイターとのコラボにも積極的だ。テレビの人気企画“ダンス甲子園”など、ストリートダンスの真ん中を駆け抜けてきたKELOは現在35歳。今 の気分に合う、芸術としてのダンスの可能性を追求している。 「昔は大会に出てフィジカルを叩きつけるように派手さを競っていた気がしますが、今はダンスの本質、芸術性を意識しています」 変わったのはダンスだけではない。着替え時に目にした上半身の美しさには思わず息を呑んだ。肌ツヤの良さもあって、ユニークなタトゥーがよく映える。身体づくりから見直した。 「サラというフランス人ダンサーの影響です。美しく締まった身体、肌の質感は44歳に思えないほどで、驚きました。質問攻めにしたところ、老化に繋がるという理由で、焦げたもの、焼いたものを食べないと言うんです」 ラーメンは卒業した。和食を中心に食生活を見直すなどサラの教えを実践すると効果はすぐに現れた。身体が軽くなって、10代の頃にも負けないダンスのキレが生まれた。 「永遠にパフォーマーとして表現を続けていくために、身体をどんどん研ぎ澄ましていきたいと思っています」
KELO ダンサー 1988年、神奈川県生まれ。米「アポロ・シアター」のアマチュアナイトで年間チャンピオンを獲得。地上波TV復活ダンス甲子園では2連覇を達成した。その後は、ゲリラ的にパフォーマンスを披露する世界一周の旅を経験。現在はストリートに限らず、表現者として活動の場を広げている。 PHOTOGRAPHS BY HIROKO MATSUBARA STYLED BY TOMOKO IIJIMA HAIR STYLED BY SHINYA KAWAMURA @ MOD’S HAIR WORDS BY AKIRA KAMIYA @ GQ
文・神谷 晃(GQ)