【京成杯AH】指数5位も秘めた能力に期待、本命は3歳牝馬アスコリピチェーノ 穴馬は得意の形なら強いセルバーグ
内枠が断然有利
京成杯AHは内枠の馬が有利。これは中山芝1600mが緩やかなカーブが続く円状コースで、最初の2角で内に入れないと終始外々を追走することになってしまうことが多いからだ。過去10年で馬番13番から外の優勝はない。 【セントウルステークス2024 推奨馬】夏は大得意、勝率50%で複勝率80%! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 2018年ワントゥワン、2020年スマイルカナの2頭が13番以降から2着に入ったが、スマイルカナは逃げて最短距離を立ち回ったもの。ワントゥワンは最後方列から3~4角を大外から押し上げてはいるが、マクる馬がいて展開に恵まれた面があった。 この内枠有利の傾向は馬場が高速化するほど顕著になる。1分30秒7のコースレコードだった2012年は、馬番3番のレオアクティブが1着、1番スマイルジャックが2着、2番コスモセンサーが4着、5番ファイアーフロートが5着と、ほぼ内枠で決着した。 2019年に1分30秒3とレコードが更新されたが、その年は馬番10番のトロワゼトワルが2角で先頭を取り切って逃げ切り勝ち。10番人気で3着に好走したのは内ぴったりの競馬をした馬番2番ジャンダルム。4着は3番カルヴァリオ、5着は1番プロディガルサンだった。 昨年のダービー卿CTのように3~4角でもペースが上がらず、タイムの遅い決着になれば、3~4角で好位~中団の外々を回ってもそれほど影響はない。しかし、今年は超高速馬場で好タイム決着が予想され、内目の枠の馬を中心に予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位タイ ディオ】 昨年暮れから3連勝で4走前の東風Sを勝利した馬。同レースは12番枠から五分のスタートを切り、好位の外目を追走。道中ではセッタレダストが2番手以下を離して逃げたが、離れた好位の外で動かず3角へ。3~4角では2番手以下がセッタレダストとの差を詰めていったが、本馬は動かず、4角で外から上がったノースザワールドの仕掛けを受けて3列目に上がって直線に入った。序盤でしぶとく伸びて2列目に上がり、ラスト1Fでしっかり抜け出して1馬身半差で完勝した。 4走前は前日の7Rまでが重馬場というややタフな馬場で、前後半4F45秒9-47秒5のかなりのハイペース。先頭からかなり離れた好位の外で実質差し競馬になった。上手く馬場の良い外を走らせていたこともあり、自己最高指数を記録した。 近2走の米子S、関屋記念でも2着に善戦し、ここを勝てばサマーマイルシリーズ優勝が確定する立場。しかし、米子Sも関屋記念もトゥードジボンが逃げ切る展開でペースが遅かった。 前走の関屋記念はやや出遅れたが、ひとつ外枠から逃げるトゥードジボンを追いかけて2列目を確保し、3~4角で一列下げ脚をタメての2着。岩田康誠騎手は前半で位置を取るのに無理をさせたら、3~4角で脚を溜めさせるという他の騎手にはない上手さがあると感じているが、ここもそういう騎乗だった。 近2走とも80点を上回る騎乗をしたことから、ここで大きな前進は期待しにくい。また、この馬は4走前のようにかなりのハイペースで上がりが掛かる展開がベスト。開幕週の上がりの速い決着でも悪くはないが、ベストではない。ここも善戦止まりの可能性が高いとみている。 【能力値1位タイ サンライズロナウド】 デビューから7戦はダートを使われ、1勝クラスで伸び悩んでいたが、芝に転向すると一気に上昇。芝2000mの1、2勝クラスを勝利した。その後、今年1月の芝1400mの新春S(3勝クラス)を見事に差し切ると、次走のシルクロードSで4着、続く阪急杯では3着と健闘した。 その阪急杯では2番枠から五分のスタートを切るが、軽く促されると行きたがってブレーキをかけられる場面があるなど、ややチグハグな入り方で中団の最内を追走。道中では位置を押し上げて行ったが、3~4角ではワンテンポ我慢させると、かかってしまい苦労しながら3列目で直線へ向いた。直線序盤で中目に誘導し、ラスト1Fで前2頭に並びかけるところまで迫ったが、ハナ+クビ差の3着だった。 前々走のチェアマンズSPは、前が残る流れを出遅れて後方からの競馬になったので参考外だが、この馬は距離が短いとコントロールしやすい反面、ワンパンチ足りない。芝2000mの長久手特別(2勝クラス)では、暴走して前後半5F57秒6-後半61秒1という、かなりのハイペースで逃げ切った実績がある。 本質的には中距離の逃げ先行でスタミナを生かす競馬が向いているが、現状の気性を考えるとマイルくらいがちょうどいいだろう。前走の関屋記念は前に行ければ面白いとみていたが、スタート後にしっかり抑えて最後方でじっくり構える形。結果、メンバー最速タイの上がり3Fで猛追しながらも6着と、スローペースに泣く形になった。前走でかなり後方からのレースをしたことから、今回先行すること自体が難しそうだが、前に行ければ穴を開ける可能性が高そうだ。 【能力値3位 エアファンディタ】 昨年5月の都大路Sを勝利した馬。同レースでは8番枠から五分のスタートを切ったが、そこからコントロールして後方2列目の外を追走。向正面で中団の外まで上がって、3~4角ではルペルカーリアの後ろまで押し上げ、4角出口で同馬の外へ。直線序盤で軽く追われると4番手まで上がり、ラスト1Fでそのまま伸びて最後にアドマイヤハダルにクビ差で勝利した。 アドマイヤハダルはパンサラッサが優勝した2022年の中山記念の3着馬で、昨年の鳴尾記念の3着馬。それに先着した本馬も重賞で通用する実力はある。ただゲートが甘く、そのあとの進みも悪く、いつも後方からの追走になってしまうのが弱点。 反面、トップスピードを長く維持できる点が長所。このタイプは道中で相手の出方を窺いながら動いていくことが可能なので、近2走のように善戦はする。今回はトモの炎症で10ヵ月の休養明けとなり、この中間、併走馬に追い抜かれてからの反応が悪く、下がってしまったのが不安な材料。だが、人気もないので警戒はしておきたい。 【能力値4位 オーキッドロマンス】 パラダイスSの覇者。その前走は6番枠から好スタートを決めてハナを主張。トップスタートだったメイショウチタンが控えたことで、楽に先手を取ることができた。道中はマイペースの逃げ。3~4角で2番手のリュミエールノワルが上がってきても、持ったままで直線に入った。ラスト2F過ぎで最内からメイショウチタンが上がってくると、ここで追われて同馬とのマッチレースに。しかし最後まで先頭を譲らずに1馬身差で完勝した。 前走は春の東京開催20日目で稍重馬場。東京芝ながら時計を要していた。上がりの掛かる馬場&展開がベストのタイプだ。3走前のファルコンSでもやや時計の掛かる馬場のなか、ややハイペースで逃げて2着に粘っていた。今回は超高速馬場で距離延長となることから狙いにくい。 【能力値5位 アスコリピチェーノ】 昨年6月東京の新馬戦はラスト2F11秒6-11秒6で2馬身半差の追い込み勝ち。この時点で次走勝ちにいく競馬で勝利するようなら相当上までいく可能性があるとみていた。次走の新潟2歳Sでは好位の外を追走して勝利と、あっさりミッションをクリアし、暮れの阪神JFも優勝。 2歳牝馬チャンピオンとなった。 今春のGⅠ・桜花賞、NHKマイルCではともに2着。前走は14番枠から五分のスタートを切り、そこから押して挽回し好位の中目を確保した。道中はコントロールしながら動かずに3角へ。3~4角でも好位の中目で我慢した。4角出口でマスクオールウィンの後ろから2列目付近に上がったが、直線序盤でジャンタルマンタルに蓋をされた。 そこで内を狙ったが、そのタイミングでマスクオールウィンが内に斜行して進路を失ったこともあり、内のキャプテンシーと激しく衝突。ラチ沿いのボンドガールなど、数々の内の馬に不利を与え、自身も躓いて立て直すロスがあった。ラスト2Fで置かれて3列目に下がったが、ラスト1Fでようやく内に進路を取って伸びた。結果はロジリオンを捉えてクビ差の2着まで。ジャンタルマンタルには2馬身半差で完敗したが、ヒヤヒヤする内容で本来の能力を出し切れていない。 この馬は新馬戦が芝1400mと距離が短く能力を出し切れていなかったことから、成長曲線は大きく、まだ上昇が見込める。前走で能力を出し切れていなかったことからも、疲れを残さないという意味での加点材料で、相手強化のここでも最有力だ。